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人口停滞は今までにいっぱいあったけど:[図説]人口で見る日本史 [社会]


[図説]人口で見る日本史

[図説]人口で見る日本史

  • 作者: 鬼頭 宏
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2007/06/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



現在の日本における内政上の最大の問題は少子化・高齢化。
でも、過去の日本においても人口が伸び悩んだり、減少したりする局面は何度かあった。
日本はそれをどう乗り越えて、人口が増えてきたのか?
また、今回の人口減少もそれを乗り越えることができるのか?

本書を読めば、それらの疑問に対する答えがわかる。
【目次】
序章 日本列島1万年の人口史
第1章 縄文時代―平均寿命は15歳程度
第2章 弥生時代から奈良時代―人口の70%~90%が渡来人の子孫!?
第3章 平安時代から安土桃山時代―歴史人口学の暗黒時代
第4章 江戸時代前期―1世紀で人口は2倍以上に
第5章 江戸時代中・後期―少子化と晩婚化の時代
第6章 幕末・維新期―増大する農村人口
第7章 明治時代―近代都市の誕生
第8章 大正・昭和前期―人口過剰、そして海外移民が急増
第9章 戦時期と戦後期―戦争、引き揚げ、ベビーブーム
第10章 現代(昭和後期・平成期)―なぜ人口は減少したのか
第11章 日本人口の将来―未曾有の超高齢化と人口減少
第12章 世界人口の過去と未来


今までの日本に人口の停滞時代は4回あった。
一回目は縄文時代から弥生時代の間。この人口停滞は渡来人のもたらした農耕技術で人口停滞を乗り切った。
二回目は鎌倉時代。この時代は貨幣経済が浸透して、人口停滞は解消された。
三回目は江戸時代中期の人口停滞。明治維新と工業化によって国民が豊になると、人口は増加に転じた。

そして、日本史上四回目の人口停滞が現在だ。
過去三回の人口停滞を乗り切ったことを考えると、今回も何らかの技術革新で人口停滞を乗り越えられるかもしれない。
だが、過去の人口停滞期と今回では大きな違いがある。

それは、高齢化だ。
少子化については、過去にもあったし、技術革新で豊かになることで自然と解消された歴史がある。
だが、現在のような高齢化は史上初。
人口の動きは予測が容易なので、ここ数十年は人口がプラスに転じることはないだろう。
高齢化の教訓は少ないので、この点については予断を許さない。


また、過去の人口停滞は技術革新・社会制度の変革などでボトルネックを解消することで乗り切ってきた。農業生産力がボトルネックになることがほとんどだったので、農業技術の革新や地球寒冷化からの脱却という自然条件の変化によって、人口は増加に転じている。

では、今回の人口停滞も技術的に乗り越えられるのだろうか?
過去の歴史から考えると、ボトルネックを解消することが大事なのだが、現在の人口減少におけるボトルネックは老人に手厚い社会保障だ。
子育て世代にお金が回らないため、晩婚化・晩産化が進んでいる。
過去の歴史に学べば、社会保障制度を大きく変えて年金や老人医療費を削って子供に回せば人口は回復するだろう。だが、今の政治は老人福祉のために人口を回復させようとしている。
順番が逆なのだ。

明らかに間違った政策だけど、民主主義である以上政策の転換は難しい。
そうした意味でも、今回の人口減少は手強いといえる。

人口問題については、老人が牛耳っているマスコミは、自分たちの社会保障のために昔並の「産めよ増やせよ」の論調しか出来ず、新たな視点を提供することはない。
本書のように、アカデミックで冷静な視点から人口問題について書かれた書籍は、新たな切り口で問題を捉えるいい機会になるだろう。

☆☆☆(☆3つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://so1.ti-da.net/e2897343.html
http://blog.livedoor.jp/seouldaisin/archives/51907488.html
http://d.hatena.ne.jp/mallion/20071012/p1
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20081026/1225023908
http://acertainlight.blog.so-net.ne.jp/2009-04-08-1

書評は少なめですが、評判は上々。






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