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目線は悪か無いけど、非常に雑:中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史 [社会]


中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史

  • 作者: 與那覇 潤
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/11/19
  • メディア: 単行本



本書は歴史書であって、現在の日中関係を述べた本ではない。
タイトルはあえてセンセーショナルにつけているので、まずそこに注意。

次に、本書の内容だが、タイトルにあるように”中国化”と言っているが、これは筆者独特の言語感覚。
”グローバル化”という方が一般的には通じやすいのではないだろうか。
日本の歴史を独自路線を尊重する路線と、国際標準を目指すグローバル化路線の対立で捉えて解説している。


【目次】
はじめに 新たな歴史観としての「中国化」
第1章 終わっていた歴史―宋朝と古代日本
第2章 勝てない「中国化」勢力―元・明・清朝と中世日本
第3章 ぼくたちの好きな江戸―戦国時代が作る徳川日本(17世紀)
第4章 こんな近世は嫌だ―自壊する徳川日本(18~19世紀)
第5章 開国はしたけれど―「中国化」する明治日本
第6章 わが江戸は緑なりき―「再江戸時代化」する昭和日本
第7章 近世の衝突―中国に負けた帝国日本
第8章 続きすぎた江戸時代―栄光と挫折の戦後日本
第9章 「長い江戸時代」の終焉―混乱と迷走の平成日本
第10章 今度こそ「中国化」する日本―未来のシナリオ
おわりに ポスト「3・11」の歴史観へ


冒頭でも書いたように、本書の中で「中国化」と書かれているところは、「グローバル化」と置き換えたほうが未読の人には通じやすいので、目次はそう置き換えて読んで欲しい。
(厳密には若干異なるが、その違いは本書を読めばわかる)

本書を読めば、日本ではグローバル化が根付かず、ドメスティックな独自路線(筆者いわく「江戸時代化」)が主流であったことがよくわかる。

そして、現在、その社会主義的な「江戸時代化」は限界を迎えており、自由と自己責任を貴重とした「グローバル化」に舵を切らざるを得なくなている。
それでも、抵抗勢力が多いのは、歴史上そうした「江戸時代化」勢力が中心だったから……。
と筆者の解説は行われる。

そこそこに新しい視点に触れることはできるし、筋も一応通っている。
悪くはないのだが、内容とは別の所で本書は非常にもやもやする作りになっている。

まず、明らかに世間一般で言う通説とは違うのに、「学会ではそれが当たり前」を主張している。門外漢の私にはその正しさを判断できないのだが、権威主義でけむにまこうとしているようでやや癇に障る。
また、引用資料に映画やアニメが多用され、「このシーンはこうした視点を描いている」と言った部分が多く、ネタで言っているのか、映画監督は歴史学者よりも優れた視点を持っていると信じているのかイマイチ判別しづらい。

内容は悪くない視点なのでサッと読むにはいいのだが、論の進め方・文体が非常に悩ましく、真剣に読むと色々つっかえてもやもやしてくる。
そんな印象を持つ一冊でした。

☆☆☆(☆3つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://movieandtv.blog85.fc2.com/blog-entry-304.html
http://naokis.doorblog.jp/archives/51756309.html
http://yokose-dental.net/wp/archives/362
http://tamohito.blog89.fc2.com/blog-entry-546.html
http://movieandtv.blog85.fc2.com/blog-entry-308.html
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2011-12-21
http://d.hatena.ne.jp/nyankosensee/20120304/1330831245

本書も新書形式なら、細部にこだわらずに気軽に読めたのかもしれない。
学説がどうのということにこだわらず、フィクションを読むときのような気軽さで読むのがいいのだろう。






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コメント 1

なおき

トラバありがとうございます。「中国化する日本」は、私のブログにアクセスする人の検索キーワードで、圧倒的にナンバーワンなのですが、ネガティブなことを書いているため、Amazonアソシエイトで誰も買わないという結果になっています。私自身は読んだわけで、購入を思いとどまらせてしまったかと思うと、やや複雑な気持ちになります。

by なおき (2012-04-15 20:32) 

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