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労働法の実例:人が壊れてゆく職場 [法律]


人が壊れてゆく職場 (光文社新書)

人が壊れてゆく職場 (光文社新書)

  • 作者: 笹山尚人
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/07/17
  • メディア: 新書



職場環境や最近増えている鬱病の本かと思って手に取ったら……違った。

本書は職場環境の話ではなく、労働法の話。
個人加入労働組合の弁護士が書いた、労働法にまつわる実際の事件だ。

期待していた内容とは違ったのだが、実例を元に書いているだけあって、興味深く読むことができた。

【目次】
第1章 管理職と残業代―マクドナルド判決に続け
第2章 給与の一方的減額は可能か?―契約法の大原則
第3章 いじめとパワハラ―現代日本社会の病巣
第4章 解雇とは?―実は難しい判断
第5章 日本版「依頼人」―ワーキング・プアの「雇い止め」
第6章 女性一人の訴え―増える企業の「ユーザー感覚」
第7章 労働組合って何?―団結の力を知る
第8章 アルバイトでも、パートでも―一人一人の働く権利
終章 貧困から抜け出すために―法の定める権利の実現


目次を見ればわかるように、本書は現代ニッポンの労働問題の多くが網羅されている。
名ばかり管理職、給与の一方的な削減、リストラ、雇い止め、パワハラ……。
セクハラ事例こそなかったものの、職場に於いて労使間でで問題になりそうな事例はあらかた網羅されている。

本書は労働組合の弁護士が書いているので、すべての事例において、労働者が被害者で、経営陣は悪者として描かれている。
その面から見ると非常に偏った内容なのだが、労働法の実態と労働者の権利を知るという意味では非常に良くできている。労働者はどんな時に、どんな内容の権利を主張できるのか?そして、実態としてはどの程度の保障を受けることができるのか?といった、いざというときに役立つ知識を事例を通じて吸収することができる。

私は、日本の労働法は規制が厳しすぎて新卒者・転職者に不利益を押し付けすぎていると思う。
だが、そんな私でも労働法の意義・必要性を感じることができた
そういう意味では非常に良くできた一冊だ。

☆☆☆☆(☆4つ)

いじわるを言うと、筆者が提携しているユニオンに就職浪人が助けを求めたらどのように反応するか興味はあるのだが……。

他のBlogの反応はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/MrBooPapa/20100228
http://hisashi.air-nifty.com/on/2011/06/post-d54c.html
http://blogrnm149.blog24.fc2.com/blog-entry-270.html
http://blog.goo.ne.jp/hisap_surfrider/e/1e2db80e841ee36463db83bf48e1321a
http://review-returns.seesaa.net/article/103644764.html
http://easel.jugem.jp/?eid=1282

筆者もそうだし、エントリの多くも、会社は社員の生活を保証するべきという論調。
でも、それは正しいのだろうか?社員(=労働者)の生活は国・地域で保証し、会社に過度の負担をもたせるべきではないという考えも成り立つように思えるのですが……。






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