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入門書を卒業したあなたに:戦略思考で読み解く経営分析入門―12の重要指標をケーススタディで理解する [経済]


戦略思考で読み解く経営分析入門―12の重要指標をケーススタディで理解する

戦略思考で読み解く経営分析入門―12の重要指標をケーススタディで理解する

  • 作者: 大津 広一
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2009/09/11
  • メディア: 単行本



このエントリで触れた「英語の決算書を読むスキル−海外企業のケーススタディで基礎と実践をおさえる」が素晴らしかったので、筆者の他の本に挑戦してみた。

本書の出来もまた、素晴らしいものだった。

【目次】
まえがき

序章 戦略思考と経営分析
----財務3表と会計指標への分析アプローチ
1.損益計算書(PL)の読み方
2.貸借対照表(BS)の読み方
3.キャッシュフロー計算書の読み方
4.会計指標分析のメリットと注意点

第1章 売上高総利益率
----業界特性と経営戦略を映し出す収益性の指標
1.売上高総利益率の読み方
2.ケーススタディ:任天堂
3.アサヒビールの経営分析1

第2章 売上高販管費率
----販管費への資本投下から読む収益性の指標
1.売上高販管費率の読み方
2.ケーススタディ:資生堂
3.アサヒビールの経営分析2

第3章 損益分岐点比率
----経営の安全余裕度を測る究極の収益性指標
1.損益分岐点比率の読み方
2.ケーススタディ:ソニー
3.アサヒビールの経営分析3

第4章 EBITDAマージン
----M&Aや設備投資の影響を除いたCFに基づく収益性の指標
1.EBITDAマージンの読み方
2.ケーススタディ:日本たばこ産業
3.アサヒビールの経営分析4

第5章 総資産回転率
----薄利な企業のROAを牽引する資産効率性の指標
1.総資産回転率の読み方
2.ケーススタディ:東日本旅客鉄道
3.アサヒビールの経営分析5

第6章 キャッシュ・コンバージョン・サイクル ----現金回収までの日数を見る資産効率性の指標
1.キャッシュ・コンバージョン・サイクルの読み方
2.ケーススタディ:メディセオ・パルタック
3.アサヒビールの経営分析6

第7章 棚卸資産回転期間
----在庫の適正度を評価する資産効率性の指標
1.棚卸資産回転期間の読み方
2.ケーススタディ:キヤノン
3.アサヒビールの経営分析7

第8章 有形固定資産回転率
----保有設備の売上貢献度をつかむ資産効率性の指標
1.有形固定資産回転率の読み方
2.ケーススタディ:オリエンタルランド
3.アサヒビールの経営分析8

第9章 固定長期適合率
----投資と資金調達の期間のバランスを探る安全性の指標
1.固定長期適合率の読み方
2.ケーススタディ:イオン
3.アサヒビールの経営分析9

第10章 DEレシオ
----有利子負債額の妥当性を評価する安全性の指標
1.DEレシオの読み方
2.ケーススタディ:キリンホールディングス
3.アサヒビールの経営分析10

第11章 インタレスト・カバレッジ・レシオ
----身の丈に合った有利子負債かを判断する安全性の指標
1.インタレスト・カバレッジ・レシオの読み方
2.ケーススタディ:新日本製鐵
3.アサヒビールの経営分析11

第12章 フリー・キャッシュフロー成長率
----企業価値を高めるための源となるCF指標
1.フリー・キャッシュフロー成長率の読み方
2.ケーススタディ:ヤフー
3.アサヒビールの経営分析12

終章 会計指標の選択手法
----RO


タイトルにもあるように、本書で出てくるのはたったの12の指標。
これで本の分量は382ページもある。

本書で出てくる12の指標は、株式投資の入門書では2~3ページで済まされてしまう程度のものだ。
実際に、定義の解説だけなら、2~3ページで十分だ。
だが、その指標を真の意味で使いこなすことは非常に難しい
その難しい部分を実際の企業を例にとって、懇切丁寧に解説している
そこに、本書の価値がある。

本書を読めば、アニュアルレポートから、その企業の現状をかなりの程度で読み取ることができる様になる
そのスキルの価値は、ビジネスマンなら十分に理解できるはずだ。
何故か絶好調のライバル企業の競争戦略を探るもよし、自らが務める企業を分析してその戦略に合致した行動を取るようにすれば出世も近づくだろう。

また、本書は投資家にもぜひとも読んでもらいたい。
自分が投資する企業の決算書を読む人は多いだろうが、本書に書いているレベルで企業分析をする人は少ないだろう。このエントリで触れた「決算書の暗号を解け! ダメ株を見破る投資のルール」のような入門書を読むだけではなく、一歩進んで本書レベルの知識を持っておけば、投資で火傷をすることも少なくなるだろう。

分量はあるものの、内容は素晴らしく、文句なしにオススメできる一冊。
会計・経営分析の入門書を読んだ後のステップアップとして、ぜひ挑戦してもらいたい。

☆☆☆☆★(☆4つ半)

他のBlogの反応はこちら。
http://blog.goo.ne.jp/rin-ryu/e/c14ca01ad927f53c98ca5c8080e9912b
http://blog.livedoor.jp/mitake_oasin/archives/51872707.html

著者のBlogのエントリ
http://blog.otsu-international.com/2011/06/jtebitda-d822.html

エントリは少なめなのが残念。エンタテイメント作品とは違って、万人受けする内容では無いから当然だが……。
本書のレベルの知識がないと、ビジネスの実戦では通用しない。
入門書で勉強したけどビジネスに活用できていないと思っている人は、じっくりと腰を据えて本書に取り組んでみるのも良いのではなかろうか。






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