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この余裕を持っていられるのも後何年か……。:尖閣喪失 [小説]


尖閣喪失

尖閣喪失

  • 作者: 大石 英司
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2012/05/24
  • メディア: 単行本



ノンフィクションだと思って手にとったら、所謂架空戦記のフィクションだった。
こうして期待はずれで読み始めたのだが、内容的には面白かったので、専門用語に苦戦しつつも読み切ることができた。

本書のストーリーは、中国が国内事情から尖閣諸島への侵略を決意した時の、米国・日本の状況を描いたもの。特に日本の状況は、民主党から自民党へ政権交代が行われる時期が想定されている。

この手の小説は、筆者が考える架空の自体におけるシミュレーションの精度を楽しむのであろうか?
あまりこのジャンルを読み慣れない私は正統派の楽しみ方は知らないのだが、筆者のシミュレーションは極端に走らず、現実的な路線でよくできていると思われた。

中国が尖閣諸島を占領した際に、日本・米国がその奪還を諦めるという本書の結末を支持する人は少ないだろうが、でも、現実は筆者の見方が良い線をついていると思う

そして、私は本書の結末にちょっとした安心をいだいてしまう。
日本が経済関係・国際関係を重視して尖閣諸島の奪還を諦める。
この結論は日本人として悲しく思う。だが、そうした結論が現実味を持って読むことができるということは、日本がまだまだ中国よりも豊かで、余裕のある国であるということの証明だろう。

仮に日本があらゆる面で中国よりも劣る国になってしまった場合。 その場合は尖閣諸島を譲るという結論に現実味はなくなるだろう。

後何年、日本が中国に対して余裕を持っていられるかはわからない。
日本が中国に対して余裕を持っていられるうちは面白く読める内容だ。
架空の戦いを描く軍事モノが苦手な人でも、本書ならキャラクターが立っているので読みきることができるだろう。

☆☆☆(☆3つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/a_sue/20120526/1338034437
http://blog.livedoor.jp/marugaryman/archives/51986831.html
http://kaztalk.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-9718.html
http://blog.goo.ne.jp/book808/e/5a36bf6feb7fbd23dddcbd73e8b5dabf

筆者のエントリ
http://eiji.txt-nifty.com/diary/2012/05/post-a3fd.html

熱心なファンが多いよう。
好きな人は好きなジャンルなんでしょう。





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