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楽観論なのに手放しでは喜べない……:なぜ日本経済は世界最強と言われるのか [経済]


なぜ日本経済は世界最強と言われるのか

なぜ日本経済は世界最強と言われるのか

  • 作者: ぐっちーさん
  • 出版社/メーカー: 東邦出版
  • 発売日: 2012/09/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



日本経済に対する楽観論。
本書の特徴は、金融取引の最前線である投資銀行勤務の筆者が実務的な視点から書いているところ。
また、政治的な偏りがないこともポイントが高い。
【目次】
第1章 2013年、日はまた昇る
日本救世主論
日本は世界の研究対象
みんな日本を待ち焦がれている
アメリカにおける3・11
見どころのある日本の若者たち
求められているのは、グローバルな視点ではなく極めて日本的な価値観
日本の財政は100%安全

第2章 世界最強通貨・円(YEN)
円高は日本がオンリーワンである証
為替は美人投票である
日本は相対的に美人
円高悪玉論への反論
企業の国外脱出は円高が原因ではない
外為特会でできること
円高対策の実際
介入のメカニズム=財務省と日銀の動き
米ドルの本当の価値とは
円高がなんら悪くない決定的データ
通貨高の真実・・・・・・本当の為替の価値はなにで決まるのか
日本なしでは世界は回らない

第3章 世界一安全な日本国債の威力
覚えておきたい格付けの基本
一国の運命を左右する格付け会社の実態
「国債の格付け」と「ソブリン格付け」の違い
大物経済評論家も間違う
日本の銀行に、そして日銀に勝てるヘッジファンドなど存在しない
日銀の株価が下がっている理由を考える
新聞記事に騙されるな
短期金利と長期金利は別物
政府債務のGDP比は、本当はアメリカより低い
「借金を返せ! 」といわれるはずのない日本

第4章 日本の投信、年金、株の真実とマスコミの嘘
投資の道 虎の穴「日本の投信は詐欺である」
為替予約契約のワナ・・・・・・ある会社の倒産に思う
日本の年金は破綻しない・・・・・・AIJ問題とともに
消えた年金の正体
日本経済の行方を占い、株式投資のノウハウを(ちょっと)伝授
日本は恒常的経常赤字国に転落する・・・・・・という新聞の嘘
日本は製造業の国ではない

第5章 中国バブル崩壊 韓国の生殺与奪権
中国に金融政策なんて存在しない
人民元の変動幅変更は後出し
元はすでに十分調整されている
生産人口がもう増えない
中国は不動産バブル
不動産バブル崩壊への道筋
500兆円が不良債権化か?
中国の銀行の実態
それでもあなたは中国に行きますか?
外国人を締め出しへ
人気取りの税制改革
逃げ出す中国人
赤字だらけの地方政府が反乱!?
米中首脳会談の裏側から両国関係を読む
ステートディナーから探るアメリカの対中外交
それでも愉快な中国人たち
苦境に立つ韓国経済
韓国経済を生かすも殺すも日本次第

第6章 日本神話、いまだ健在
日本は実はうまくいっている
(The Myth of Japan's Failure)


本書は藤巻健史のような日本経済悲観論に対するアンチテーゼ。

国家財政における国債発行(借金)の額が喧伝され、日本有数の大企業の巨額赤字が新聞を賑わしているが、日本政府が「近い将来」デフォルトしたり、「すべての」日本企業が世界で競争力を失ったりすることが無いことをわかりやすく説明している。

ただ、三橋貴明のような無制限の楽観論ではなく、良識ある主張であるのはポイントが高い。

例えば、政府のデフォルトについても、日本国民が資金の投資先を海外に振り向けた場合は危機が生じることをはっきりと書いている。その上で、短期的にはその心配がないので、今すぐに破綻するような破綻論者を避難している。
明示されては居ないが、長期的には借金をし続けることが出来ないことは百も承知だろう(無税国家ができるような言動をする楽観論者とはそこが違う)。

また、日本企業についても、今でも競争力のある分野は多いし、サービス業のようにうまくマネタイズできては居ないが、潜在的に競争力がある分野が多いことも指摘している。
ただ、手放しでは喜べないのは、これから就職する学生ならともかく、現在働いている人の企業が長続きするかどうかはその企業が世界で競争力を持っているかどうかにかかっていることがはっきり指摘されているところ。全体的に見るとうまくいくのだが、個別的にうまくいくかどうかは別なのだ。

更に、投資銀行勤務経験者だけあって、明示はしていないものの、おすすめの投資・避けたほうが良い投資についても言及されている。
特に、避けたほうが良い投資(外国通貨の債券や国内でしか通用しない超ドメスティックな企業の株等)に関する言及は一読の価値がある。

語り口が面白く、非常に読みやすいのだが、それだけに盲信したり、誤読したりする危険もある。
本書を読んで、十分に納得したら日本経済破綻論についても読んで、破綻論のツッコミどころを自分でも考えるといいだろう。

☆☆☆☆(☆4つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://blog.goo.ne.jp/kintaro-chance/e/ff3a941d186d8df7dd8bc4472be27b90
http://rakuchin.at.webry.info/201210/article_1.html
http://aisaikamasa.blog91.fc2.com/blog-entry-965.html
http://manatakebooks.seesaa.net/article/300125477.html
http://nago326.blog.fc2.com/blog-entry-1286.html
http://blog.livedoor.jp/tamu155/archives/18877147.html

今の状況では、日本国債・米国債はまあ安全ですが、ユーロ債や人民元預金などは危険。
結論は同じでも、ロジックをしっかり書いてくれているので、信用が違ってきます。






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