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外からは見えない米国国内政治:99%対1% アメリカ格差ウォーズ [社会]


99%対1% アメリカ格差ウォーズ

99%対1% アメリカ格差ウォーズ

  • 作者: 町山 智浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



米国の国家戦略や、共和党・民主党それぞれの”公式な”思想など米国政治の”上流”部分は日本語に訳されている書籍も多く、いろんな人が解説しているので本を読む人には簡単に情報が手に入る。
だが、実際にどういった人が、どのような思考回路で政治を動かしているのか?という面については、実際に住んでいる人しかわからないし、外国人には理解しづらい部分も多い
語弊を恐れずに言うと、外国人に鈴木宗男に投票し続ける地方の人を理解してもらう難しさを考えるとイメージしやすいだろう。米国にも似たような部分は存在するのだ。

そうした部分を小馬鹿にしながら、わかりやすいエピソードで面白く書いている本書は、呆れながらも楽しんで読むことの出来る一冊だ。
【目次】
序章
オバマ大統領就任式――「自由」と「平等」のハルマゲドン
第1章
医療保険改革とティーパーティーの誕生
2009年12月~2010年5月 オバマのお辞儀を批判するFOXと過激なデマゴーグたち
第2章
保守vs.リベラル 壮絶メディア・バトル
2010年5月~12月 中間選挙で民党敗北
第3章
オバマがイスラム教徒だと信じるアメリカ人
2011年1月~6月 ギフォーズ議員狙撃からビン・ラディン殺害まで
第4章
1%が動かす茶会と99%の占拠運動
2011年6月~11月 共和党大統領予備選から「ウォール街を占拠せよ」運動まで
第5章
「ハゲタカ」ロムニーと「ヘタレ」のオバマ
2012年2月~7月 ロムニーの大統領候補選出からオバマケアの最高裁判決まで


本書の主なターゲットは共和党右派。ティーパーティーやキリスト教保守と言われる人々だ。

ティーパーティーについては、分類的にはリバタリアンであり後述するようなキリスト教保守派の人々に比べると考え方そのものは理解できるものが有る。
だが、国民皆保険に反対し、アイン・ランドの「肩をすくめるアトラス」をバイブルとして崇める人々が平均以下の年収しかないという事実だったり、彼らを煽る独特のTVキャスター(右派のみのもんたのような人々)のトンチンカンな行動を見ていると、ティーパーティの人々がしっかりと考えて投票しているようにはとても見えない。

キリスト教保守については更に日本人の理解から遠いところにある
進化論を学校で教えることを批判し(当然、自分の子供は自宅学習させている)、同性愛結婚を認めた政治家に対して銃器による脅威を与え、イスラム教徒を野蛮人のように扱う彼らは、共和党の中でも極端な人々を支持することで中道派を取りこぼして大統領の椅子から遠ざかっていくという悪循環を発生させている。

本書で触れられているのは主にお馬鹿な右派であり、左派の異常性については申し訳程度にしか触れられていない。そういった意味で、政治的バイアスがかかった内容なのだが、米国政治の一面を垣間見るという意味では十分に楽しめる内容だ。

☆☆☆★(☆3つ半)

他のBlogの反応はこちら。
http://www.nakakura.net/blog/2013/10/post-33.html
http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20121015
http://tatsuya1956.blog48.fc2.com/blog-entry-1312.html
http://nikkidoku.exblog.jp/18327733/
http://blog.livedoor.jp/gurgur717/archives/51381059.html

ビジネスを通じて米国人と接する機会が増えてきている日本でも、本書に出てくるような人々との接点はなかなか持つことが出来ないので、斬新な気持ちで読むことが出来る。







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