戦略論のショーウィンドウ:戦略論の名著 - 孫子、マキアヴェリから現代まで [その他]
戦略論の名著 - 孫子、マキアヴェリから現代まで (中公新書)
- 作者: 野中 郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2013/04/24
- メディア: 新書
戦略論のガイドブック。
名著とされている古今12の戦略論(詳細は後述の目次参照)についての概要と、その本は何がすごいのか?を簡単に紹介している。
本書だけを読んで、戦略論に対するアンチョコ的な使い方をしてもいいし、本書を読んで気になった戦略論に本格的に取り組んでもいいだろう。
【目次】
孫武『孫子』(紀元前五世紀中頃~四世紀中頃)―戦わずにして勝つためには
マキアヴェリ『君主論』(一五一三年)―君主の持つべき特性と力とは
クラウゼヴィッツ『戦争論』(一八三二年)―戦争とは何か
マハン『海上権力史論』(一八九〇年)―海軍の存在価値とは何か
毛沢東『遊撃戦論』(一九三八年)―弱者が強者に勝つためには
石原莞爾『戦争史大観』(一九四一年)―最終戦争に日本が生き残るためには
リデルハート『戦略論』(一九五四年)―戦争に至らない、戦争を拡大させないために何をすべきか
ルトワック『戦略』(一九八七年)―戦争の意義とは何か
クレフェルト『戦争の変遷』(一九九一年)―戦争の本質と新時代の戦争とは
グレイ『現代の戦略』(一九九九年)―現代戦略をクラウゼヴィッツ的に解釈してみる
ノックス&マーレー『軍事革命とRMAの戦略史』(二〇〇一年)―戦史から学ぶ競争優位とは何か
ドールマン『アストロポリティーク』(二〇〇一年)―古典地政学を宇宙に適用するとどうなるか
本書で触れられている戦略論は上記の12冊。
私が筆者を知っていたのはマハンまで(日本人なので石原莞爾と毛沢東は知ってはいるけど戦略論の著者という認識はなかった)。正直、時代の新しい方からの何人かは軍事研究家やそれに類する人々でないと知らない人が多いのではないだろうか?
考えてみれば当然のことなのだが、孫氏から始まった"戦争"の研究が現代でも続いていないわけはない。当然、古の孫氏の兵法の現代版は常に考えられているわけだ。
本書を読まなければ、直近の戦略論の考え方や、代表例を知ることはできなかったのでその点では有用な一冊だといえる。
反面、本書だけで完結してしまうとやや内容が物足りない。孫氏だけでも解説書が大量に出回っていることからわかるように、本来、本書で取り上げられているような戦略書は一冊かけて内容を掘り下げていくレベルの書物なのだ。
それを12冊分詰め込んでいるのだから、当然一冊あたりの内容は物足りなくなる。
興味深い内容であることは間違いないのだが、やや使い方を悩む書物でもある。
☆☆☆(☆3つ)
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