山口組も分裂したし……。:破門 [小説]
黒川博行の直木賞受賞作。
シリーズ物なのだが、本作では法律・条例の締め付けで生活が厳しくなったヤクザ社会をテーマにしており、日本最大の暴力団組織が分裂する現在の流れは既にできていたんだな……。と思わせる内容だ。
今までのシリーズ物では、主人公のヤクザ桑原と、土建屋とヤクザの間をつなぐことで商売しているもう一人の主人公二宮の二人は、浮き沈みこそあったもののそれなりに儲けを出して商売として成り立っていた。
ところが、2014年に出版された本作では、桑原は上納金も滞納しがちになり経営していたカラオケ店も売却してしまっている。二宮の方はもっと悲惨で、「密接交際者」扱いを受けて商売はほぼ壊滅している。
こんな状況の中、同じ系列の暴力団同士の内輪もめで桑原が破門されてしまう。
というのが本書のあらすじなのだが、2015年の山口組分裂を先取りしているようで非常に興味深い。
本書は純粋なエンターテイメント作品で、社会性を強調した作品ではないのだが、それでも世の中の流れとはきっちりとつながっている。
単純に面白い作品なのだが、山口組のニュースが世間を賑わしている昨今だと余計に面白く読める一冊。この作品で直木賞を受賞するのは今更という感じではあるのだが、いい作品であることは間違いない。
☆☆☆☆(☆4つ)
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