単なる政権批判本として読んではもったいない:知性とは何か [社会]
「反知性主義」をキーワードにした政権批判。
筆者のスタンスが現政権とあまり合わないのはなんとなく理解できるのだが、単に批判するだけではなく”反知性”の切り口から内容を組み立てるのが筆者の持ち味で、非常にらしさが出ている。
【目次】
第1章 日本を席捲する「反知性主義」―安倍政権の漂流
第2章 歴史と反知性主義―ナショナリズムをどうとらえるか
第3章 反知性主義に対抗する「知性」とは?(1)言葉の重要性
第4章 反知性主義に対抗する「知性」とは?(2)反知性主義の存在論と現象論
第5章 どうすれば反知性主義を克服できるか?
第6章 知性を身につけるための実践的読書術
本書の読み方は2つある。
一つは反知性主義をキーワードにした政権批判本として読むことで、この読み方であるならば労力もなくスイスイと読み進めることができる。
が、その読み方で終わってしまうなら、本書のコストパフォーマンス(という言い方はあまり妥当じゃないように思うが)は非常に悪くなる。
もう一つは、筆者の言う「反知性主義」にならないためにはどうすべきか?問観点から読み進める方法で、この読み方はやや骨が折れるものの、本書をしっかりと味わいつくすることができる。
筆者の挙げている参考文献、引用文献も多いのでこの文脈から読むなら新書レベルは超えた歯ごたえが味わえるだろう。
私の中では筆者はインプット・アウトプットの量が質に転嫁した物書きだという印象なので、筆者が数多く読んだであろう本の中からおすすめの文献が引用・参考という形で出ている本書は「はじめの一歩」として非常に良い新書だと感じられた。
☆☆☆☆(☆4つ)
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