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天才の人生ってこういうものなんでしょう:ケインズと株式投資 [投資・マネー]


ケインズと株式投資

ケインズと株式投資

  • 作者: 西野 武彦
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2015/05/14
  • メディア: 単行本



日本で最も有名であろう経済学者、ケインズ。
だが、ケインズが単なる学者ではなく、WW2の戦後賠償を仕切った政府首席代表であり、当時の有力機関投資家のファンドマネージャーであったことはあまり知られていない。
本書は、学者以外のケインズに焦点を当てたケインズの伝記である。

【目次】
第1章 全力で駆け抜けたケインズの生涯
1 英才教育を受けた幼年時代
2 自由を謳歌した大学生時代
3 イギリスの首席代表を務めた大蔵省時代
4 ケインズ経済学が花開いた壮年時代

第2章 ケインズの複雑な人物像
1 何事にも熱中するケインズの性格
2 スポーツから文学まで幅広い趣味
3 午前中はベッドの上で過ごすケインズの1日
4 ロシアの人気バレリーナと異色の結婚
5 行動力抜群の経済学者
6 10の顔を持つ男
7 大学で何を教えたのか
8 大学教師時代の年収は?
9 恩師マーシャルとの微妙な関係
10 自由党員としての政治活動
11 ケインズとチャーチルの確執

第3章 ギャンブラー・ケインズの投資遍歴
1 ギャンブル好きだった学生時代
2 大蔵省退任後に訪れた2つの幸運
3 執筆の合間に熱中した為替投機
4 天国と地獄を見たドイツマルク売り投機の顛末
5 商品相場への投機から株式投資へ
6 絶えなかったインサイダー取引の噂
7 株式投資を始めた時期について2つの説

第4章〈ケインズの株式講座〉ケインズが見た株式市場の実態
1 株式投資はババ抜きゲーム
2 銘柄選びのコツは美人投票と同じ
3 株式市場が果たしている2つの役割
4 イギリス人は投資し、アメリカ人は投機する
5 流動性をめぐる投機市場のジレンマ
6 プロとアマの意外な違い
7 勝っても負けても批判される機関投資家の悩み

第5章〈 ケインズの株式講座〉株価を決めるものは何か
1 ケインズも読み切れなかった景気と株価の関係
2 ケインズが最も重視した利子率の動き
3 ケインズが考える「株価の方程式」
4 物価が上がれば株価も上がる?
5 株式投資の成否を左右する蓋然性とは……
6 投機に走らせるアニマル・スピリットの正体
7 大暴落はなぜ起こるのか
8 恐慌はなぜ起こるのか
9 景気や相場の予想はなぜ外れるのだろうか

第6章 ケインズが実践した株式投資必勝法
1 ケインズは投資のパイオニア
2 アメリカの大学基金は今…… 
3 ケインズが使い分けた3つの投資法
4 トップダウン方式からボトムアップ方式への切り替え
5 短期投資から長期投資へ
6 ケインズの情報源
7 バフェットも絶賛するケインズの投資法
8 ケインズとバフェットの類似点と相違点
(以下 続く)


本書は投資テクニック本のようなタイトルがついていて、中身の一部も投資テクニック本のような内容になっているのだが、強いて分類するならば伝記である。
というか、投資テクニック本としてみた時には正直なところ、あまり役には立たないだろう。

本書の真髄は、ケインズの理論面以外の職業・生活・人生について焦点を当てた伝記の部分で、ケインズという超一流の人間に迫ることができている。
客観的に見るとケインズの人生はかなり生まれの時点で恵まれているのだが、決して丈夫ではなかった身体を抱えながら、命を削って自らの興味に殉じた人生は男性なら憧れる人生の一種といえるだろう。

もちろん、残した実績(と財産)も超一流で、第2次世界大戦で疲弊した英国が一流国と他国からも認められてきたのはケインズとチャーチルによるところが大きいはずだ。
(その二人の仲が非常に悪かったというのも面白い話)

投資テクニックや経済理論ではない、ケインズという人に興味を持った人がいたら読んで損のない一冊。おそらく、学術的な目から見ると完成度は低いのだろうが、その分読みやすい仕上がりになっている。

☆☆☆★(☆3つ半)

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