数学を通じてみた日本の一面:雪月花の数学 [数学]
数学を通じてみた日本の文化論。
本書を読んでみても、数学としての知識が増えることは無いので、数学の本というよりも日本文化についての本として読むのが正解。
余談だが、本書は図書館では「数学」に分類されていた。著者は数学の教師だそうだが、この本を「数学」の本に分類する分類法は疑問である。
黄金比(≒1:1.6)をご存知の方は多いかもしれない、少なくとも名前だけは聴いたことのある人が多いであろう。しかし、この本によると日本文化で多用されていた比率は白銀比(=1:√2≒1:1.4)であるとのこと。動的な印象を与える黄金比が西洋で多用されているのと違い、静的な印象を与える白銀比がわが国では古来から使用されてきた。
その例として、筆者が挙げているものは大工道具の曲尺、法隆寺、華道、俳句…さまざまなものに白銀比が見られ、古来より日本人はそれを美しいと感じてきたと論を展開する。
このような見方は一面では「こじつけ」であろう。しかし、日本古来の美に白銀比を発見し、北斎の動的な浮世絵には黄金比を見つけるというものの見方が出来るのは、数学の楽しみであろう。そして、数学の素養の無い私が読書を通じて、そのような数学家のものの見方を味わう楽しみに触れることが出来るのが、本書の価値である。
☆☆☆(☆三つ)
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