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図書館のラインナップについて物申す [opinion]

私は練馬区民で練馬区図書館をよく利用している。
図書館を利用するのはお金の面も小さくないが、独身時代は本にお金を使っていたので、お金よりも場所の問題が大きい。そのあたりの事情は私の愛読している「わたしの知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」のdainさんと同じ。有名書評ブロガーを引き合いに出すのは恐れ多い気もしますが・・・
http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2006/08/post_9e69.html
http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2006/09/20_ed7b.html

そんな私が結婚して練馬区に住み、練馬区図書館を使うようになって不満を感じる点がある。具体的には以下のとおり

◎不満に感じる点の内容
本のラインナップがアンバランスすぎて不適当。
図書館の本で充実しているのは、小説・新聞・郷土資料。逆にビジネス書、自己啓発書のインナップは最悪に近い。
その一例として在庫数、予約数(待っている人)を調べてみた。新聞・郷土資料は帯禁が多いので、以降は小説を代表に話を進める。

現時点でamazon一位&昨年度年間一位のビジネス書
勝間和代著 効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法
蔵書数3冊、待ち人数85人
デールカーネギー著 人を動かす 新装版 蔵書数6冊 待ち人数8人


私が昔学んでいた法律の有名専門書(7~8年前の知識なので、選択が適当でなかったらごめんなさい)
内田貴著 民法 I [第3版]総則・物権総論  蔵書数2冊 待ち人数1人
芦部信喜著 憲法  蔵書数3冊 待ち人数0人
前田雅英刑法総論講義 蔵書数1冊 待ち人数0人

マネーを扱った良作
ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理 蔵書数3冊、待ち人数7人

調べたが、蔵書の無かったビジネス書
究極の会議 、CD‐ROM付 目標を突破する 実践プロジェクトマネジメント

一方小説は 
直近二回の直木賞
桜庭一樹著 私の男 蔵書数13冊、待ち人数409件
松井今朝子著 吉原手引草 蔵書数23冊、待ち人数298件

芥川賞
諏訪哲史著 アサッテの人 蔵書数12冊、待ち人数29人

2chでねたにされる小説たち
恋空〈上〉―切ナイ恋物語  蔵書数8冊、待ち人数174人
リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫) 蔵書数7冊、待ち人数29人
その他、2008年に発行されたハーレクインロマンスは56種類が蔵書されている(ほとんどは1種類1冊。但し、確認はサンプリングで実施したため、複数あるものも存在するかも知れない)

明らかに小説に偏っているとは思わないだろうか?
さらに、小説は文庫化されると単純に同じ内容のものが増えるのに対して、教科書類については新版が出ると、旧版の内容は時代遅れになるので、差はどんどん拡大していくという問題もある。たとえば、上記に挙げたリアル鬼ごっこも文庫版が有る(蔵書数6冊)

 
・なぜこのようなラインナップになっているのか?
上記の事実を踏まえて、なぜ小説が重視され、ビジネス書・専門書が軽視されているのかを考えてみた。
◎図書館の役割として娯楽の提供を重視している
確かに、人間が生活していくうえで娯楽は不可欠だ。憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」には、文化的な娯楽も含まれるのだろう。
しかし、娯楽を提供することは学習機会の提供を制限する理由にはならない。
大阪府の橋下知事は図書館以外の公共施設の民営化を検討している旨を発言した。これの真意は不明だが、格差社会が言われる中で図書館による学習・スキルアップの機会を重視した側面もあると思われる。
ベストセラー小説やケータイ小説、ハーレクインロマンスを楽しむ人には十分な本の数・種類が提供され、スキルアップの本を読みたいがお金の無い新人の社会人や専門的な教科書で学びたい貧乏学生には少ない資源しか提供されていない。これは図書館のあり方として間違っている。

◎図書館の本を選ぶ人にビジネス書・専門書の類を選ぶ能力が無い。
この理由を考え付いた時、私は誰がどうやって本を選んでいるかを疑問に思ったので、練馬区の図書館がどのようなポリシーに基づいて蔵書を選定しているのかを調べてみた・・・・・
が、区のWebサイト、図書館のWebサイト共に蔵書のポリシーについての記述が無い_| ̄|○
どのような方針に基づいて、誰が蔵書を選んでいるのかが公表されていないのだ。税金を納めているものとしては、これは納得いかない。
ビジネス書・専門書の能力を選ぶ能力が無いにしても、○○の方針があって、それにしたがって○○委員会が決めていますと書いていてくれれば、ビジネス書・教科書に詳しい利用者が正しいか間違っているかを判断のしようもあるし、不満があれば意見も出せる。しかし、現状のブラックボックスではなんとも言いようが無いのでフィードバックが働かない。

◎予算配分が決まっていて、ビジネス書・専門書は単価が高いので少なくなっている。
上記の問題と同じ。配分が決まっているならそれを公開した上で、納税者・利用者から広く意見を求めるべきである。正しい配分をしている自信があるなら、公開しても何の問題も生じないはず。

◎待っている人は総じて小説のほうが多い。利用者のニーズに従っているだけ。
ベストセラー優先の結果、小説に偏るのもやむなしという説。一見正しそうだが、ビジネス書(ジャンルによっては教科書も)は鮮度が命のものが多い。
たとえば昨年内部統制対応が問題になったが、それを調べる時予約して何ヶ月も待つわけには行かない。スキルアップ目的のビジネス書にしても、ビジネス書を読んで行動に移さ無ければならないのに、予約で何ヶ月も待つというのではその間の時間が無駄になる。
つまり、ビジネス書は予約されにくい(予約するぐらいなら買わないと間に合わない)種類の本なのだ。のんびり待つことの出来る小説と比べて待っている人が少ないから需要が無いというのは間違っている。

◎ビジネス書、専門書は権威ある賞が無いので蔵書を増やすことが納得させられない。
これは図書館の問題に加えて出版側の問題。直木三十五賞・芥川龍之介賞を筆頭に三島由紀夫賞・山本周五郎賞・吉川英司賞といわゆる権威ある賞が多い小説は蔵書を増やす理由がつけやすく、ビジネス書・専門書は説明しにくいので、平均的な量しか入れられ無いという説。
理由に基づいて説明しなければダメというのは説明の能力不足&判断の能力の無い人が上司になっているという役人の悪弊ではあると思うが、それが現実なら出版の側でビジネス書・専門書の権威ある賞を作るというのも解になりそう。

・結論としての提言
◎図書館に向けて
1.今の蔵書傾向は偏っている。ビジネス書・専門書をもっと拡充すること。
図書館の利用層の拡大と、格差社会に対するセーフティネットとして、図書館にも小説以外の内容が求められる時代になったと思われる。
2.それを改善する前提として、どのような方針で、誰が本を選び、結果としてどういう予算配分がされているかを公表し、広く意見を求めること。
ブラックボックス化は一番よくない。問題が無いなら公表すればいいし、公表することでフィードバックが生まれて蔵書の中身はどんどん洗練されたものになってくるはず。ネットワーク化の時代において外部の力を利用しないのはそれだけで愚策である。

◎区長、区議会に向けて
1.図書館の役割をしっかり考えて、それを広く公表すること。
なんとなく図書館があればいいというのは税金の無駄使い。税金を使うなら最大の効果を挙げるために方針をたてること。

◎出版社に向けて
1.ビジネス書、専門書に論文ではなく、本を評価する賞を作り、育てること。
芥川賞・直木賞のように世間に広く認められれば売り上げにも直結するし、芥川賞で文春アドバンテージがあるように、結果的には主催社は利益を得ることが出来る。
ダイヤモンド社でも東洋経済社でも日経新聞社でもいいから主催してくれませんかね??

以上が私の図書館の蔵書についての提言である。
図書館については他にも言いたいことは多いのだが、それは又の機会があれば書くことにする。

 


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