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2作目としてならオススメ:黒龍の柩 [小説]

黒龍の柩 (上)

黒龍の柩 (上)

  • 作者: 北方 謙三
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2005/10
  • メディア: 文庫
黒龍の柩 (下)

黒龍の柩 (下)

  • 作者: 北方 謙三
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2005/10
  • メディア: 文庫
北方謙三が新撰組の土方歳三を描いた作品。相変わらずの北方節(というか、筆者が理想とする男の生き様)は健在で、新たな新撰組の像を構築することに成功した作品である。
この作品は上巻では京において時代の行き先を見通すことについて悩む、土方・山南の両名を中心にストーリーが進み、後半は自分の夢を賭ける目標を見つけた土方が江戸~会津~蝦夷地と転戦していく様が描かれている。

本作の目新しいところは、土方はなぜ北に転戦したのか。そして、近藤勇はなぜ流山で官軍に投降したのかという、京都以降の新撰組が説得力を持って描かれて居ることである。さらに、その流れの中で、それぞれの思い・夢を生き生きと感じることが出来る点が非常にすばらしい。

また、筆者はハードボイルド作家だけあって、斬り合いのシーンは迫力満点で、最強のライバル中村半次郎に向かう沖田総司や土方のシーンのみならず、名も無い切られ役を切るシーンでも固唾を呑んでどきどきすることが出来る。

但し、この本を読むに当たっては注意点もある。この本は従来の固定観念の役柄をひっくり返したところに面白さが生じている。余り書くとネタバレになるため控えるが、山南・西郷隆盛・小栗上野介・徳川慶喜あたりは従来の作品と大きく異なる描写がされている(坂本竜馬も過大評価によりいっそう拍車がかかっている)。このような従来と大きく異なる描写が、この作品の面白さのひとつである。
逆に、従来の幕末・新撰組のストーリーを読んだ事のない人は本作の真髄を十分に味わうことが出来ない。
この点は要注意である。
 
☆☆☆★(☆三つ半)
ラストが絶海にあらず〈上〉 の藤原純友や武王の門〈上〉 (新潮文庫) の懐良親王と同じ種類のラストだったのは減点材料。この作者の得意パターンだとは思うが…
 
幕末の歴史小説に慣れていない人には、本作よりもこちらがオススメ。燃えよ剣を読んでから黒龍の柩を読むと、同じ主人公を描いた作品ながら、描かれている人物のギャップのため、よりいっそう楽しめます。
燃えよ剣 (上巻)

燃えよ剣 (上巻)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1972/05
  • メディア: 文庫

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