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問題把握は合格、解決策は不合格:不機嫌な職場 [社会]


不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書 1926)

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書 1926)

  • 作者: 河合 太介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/01/18
  • メディア: 新書


社員同士の関係が希薄に成り、結果として困っている人を助けられないで、休職・退職の負の連鎖が発生しているという、現在の日本の職場における問題点を鋭く言い当てている。
社員が自分の専門分野に特化し、他人の業務に手出しをしなくなってきたことを「タコツボ化」と命名したのはさすがだと感心した。
【目次】
第1章 いま、職場で何が起きているのか
第2章 何が協力関係を阻害しているのか―協力関係を阻害する「構造的要因」(進む組織のタコツボ化/評判情報流通と情報共有の低下/インセンティブ構造の変化)
第3章 協力の心理を理解する
第4章 協力し合う組織に学ぶ(グーグル/サイバーエージェント/ヨリタ歯科クリニック)
第5章 協力し合える組織をつくる方法―協力関係再構築に必要な姿勢/経営者の責務(役割構造に対する工夫/評価情報に対する工夫/インセンティブに対する工夫)
最終章 協力への第一歩の踏み出し方

ただ、それだけ立派に問題の所在をつかんでいながら、提示される解決策は全然ダメなものになっている。

本書が提起する解決策は、第4章に挙げられた、google、サーバーエージェント、ヨリタ歯科(大阪の歯科医らしい)を例にとって、社員同士がお互いを知り合い、緊密な人間関係をとることで、協力し合える組織がよみがえるとする。
そして、そのためには社員旅行や飲み会、ブログによる自己紹介が有効と言い切る。但し、昔ながらのやり方ではダメで、楽しさ・世間で通じる品質を保った旅行や飲み会、ブログを会社としてサポートすることが大事だと主張している。

確かに、本書の主張は解決策のひとつであるかもしれない。
しかし、本書は昔ながらの飲み会・社員旅行が絶滅した過程を正しく認識していながら、それらを品質を高めて復活させればよいとある意味矛盾のある回答ひとつしか提示していない点が問題である。

第4章に挙げられた企業以外にうまく行っている企業は無いのだろうか?
成果主義を徹底することで人間関係の希薄さをカバーできないのだろうか?
長時間労働が人間関係に与える影響が無視されているのは打倒なのだろうか?

解決策が余り充実していないのが問題点であることから、自分なりに考えることは出来るが、納得のいかなさが残る本となってしまっている。
実際に瀬戸際の職場に居る人からすれば、当たり前の分析をしてろくな解決策が示されていないダメコンサルの見本のように写るのではないだろうか。


言うならば現状把握は65点、問題点の所在把握は45点、解決策は30点の本である。

☆☆★(☆二つ半)
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