14歳は遠くになりにけり:4TEEN [小説]
石田衣良が第129回直木賞(2003年度上半期)を受賞した作品。
14歳の子供の生き生きとした生活を描いている。
現代の東京月島を舞台にしたトム・ソーヤ、ハックルベリー・フィンの物語と言える内容となっている。
14歳の4人の少年を中心にした物語。少年の心の動きが伝わってくる作品である。
また、石田衣良独特の、難しい問題でありながらすっきりとした結論の作品に仕上がっており、読み応えがありながら気持ちのいい読後感が味わえる。
amazonのレビューを見ると、高く評価する声と共に、「非現実的」「14の少年とは思えない」と言った否定的な意見も一定数見られる。
確かに、昭和の時代に大阪の田舎で14歳時代を過ごした私から見ると、隔世の感を感じる。
私たちの頃は、不良はいたけど大金を要求するようなことはなかったし、エッチな話に興味のある年頃ではあるけど、友人のために援助交際の女の子をプレゼントしようとするような発想はなかった。
14歳の子供がしっかりものを考えているのは事実なので、心の動きは当時を思い出して非常に納得がいく。但し、行動については正直言って当時の私と照らし合わせても納得がいかない。
このような差が筆者の過剰な創作の賜物なのか、それとも現代の子供たちはこんな風なのかは分からない。
30を過ぎた私にはこの先も分からないことなのだろう。
それでも、本書には実際の少年の行動とは関係なく、小説の中で伝わってくるリアリティが存在する。現実とは違う小説世界でのリアリティだ。
このように本書が実際の少年に照らし合わせてリアルかどうかは分からないし、わかる必要も余りない。
本書には、自分が14歳だった頃を思い出して甘酸っぱい気持ちにさせると共に、読後に前向きにさせてくれる力がある。
その力のある小説を十分に楽しめばよいだろう。
☆☆☆★(☆三つ半)
ちなみに、第129回直木賞を同時受賞した作品はこちら。私はまだ未読です。
他のブログにアップされている感想はこちら等。大体好意的な反応が多いようです。
総じて若い人の読者が多いのかな?
http://kumataro.mediacat-blog.jp/e19989.html
http://decision10.blog61.fc2.com/blog-entry-276.html
http://goodsnow44.exblog.jp/7747194/
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