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言いたいことはわかるけど、まとまりに欠ける:センスある日本語表現のために [文章]


センスある日本語表現のために―語感とは何か (中公新書)

センスある日本語表現のために―語感とは何か (中公新書)

  • 作者: 中村 明
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1994/08
  • メディア: -


日本語の語感について述べた本。
「あした」、「あす」、「みょうにち」はすべて同じ日を指すのに、なぜ異なった言葉を使うのか?
そうした同意語、類義語等の使い分けについて、日本語の語感と言う観点から解説したのが本書である。

【目次】
I ことばのひろがり
 語彙から見た日本語
 ことばの種類

II 語感とは何か
「意味」の意味
 意味と語感

III 類義語の意味関係
 同義的意味関係
 包摂的意味関係
 接触的意味関係
 隣接的意味関係
 多岐にわたる意味関係
 意味の微妙な違い

IV 表現者の影
 「ぼく」と「あたし」
 「卓球」と「ピンポン」
 「ありがとう」と「ごっつぁん」
 「サツ」の「イヌ」
 「終戦」と「敗戦」
 「一生懸命」と「一所懸命」
 「しりつ」と「わたくしりつ」
 「やり方」と「やり口」
 「食う」と「食べる」と「召し上がる」
 「もらう」と「いただく」
 「日本海側」と「裏日本」
 「言う」と「ぬかす」
 「死ぬ」と「亡くなる」

V 対象の照り返し
 「清楚」と「ばんカラ」
 「紅顔」と「かくしゃく」
 「猿」と「牛乳」
 「春雨」と「夕立」
 「狐」と「烏」
 「出身地」と「ふるさと」
 「フイルム」と「フィルム」

VI ことばの体臭
 A 緊張度
 「葉」と「はっぱ」
 「火事」と「火災」
 「アナウンサー」と「アナ」
 「名簿」と「平成六年度版教職員名簿」
 「去年」と「昨年」
 「やはり」と「やっぱり」
 B 時間性
 「とても」と「いと」
 「刑務所」と「監獄」
 「台所」と「キッチン」
 「やぼったい」と「ださい」
 「究極の」
 「電気冷蔵庫」
 「生きのこる」と「生きのこす」
 C 品格
 「集まり」と「つどい」
 「ご飯」と「めし」
 D 位相
 「むしば」と「齲歯」
 「肩すかし」に「勇み足」
 「ばつ」と「ぺけ」
 E 語種
 「アフターサービス」
 「妊婦服」と「マタニティードレス」
 F 言語的性格
 「コーヒー」と「珈琲」
 「にほん」と「にっぽん」
 「あほ」と「ばか」
 「酔う」と「酔っぱらう」
 「愛欲」と「獣欲」
 「まんなか」と「どまんなか」
 G 連想
 「撞着」と「矛盾」
 「テキ」に「カツ」
 「アメション」に「ながら族」
 「やぶ」と「竹の子」

VII 語感の環境
 男の「わたし」と女の「わたし」
 「しとやかな女子のささやき」
 「水を浴びる」と「非難を浴びる」
 「色鮮やかににおう袖口」
 「印鑑」と「印章」
 「人民の人民による人民のための」

文体的な語感――あとがきに代えて
あとがき 


本書の「あとがきに代えて」において、筆者は次のように述べている。
この本は、そういう暗中模索の結果、年齢と共に呆れるほど感度の鈍ってきた私が今の言語感覚のアンテナに偶然引っかかったものを出来るだけ広く拾い上げ、それを自分なりに整理して示そうとした試みである。

この文章で明らかなように、本書は手当たり次第に拾い上げ、それを整理しようとした跡はうかがえる。
しかし、整理されきっていないことが本書の最大の問題点である。

本書で挙げられている個々の言葉の違いについては、元国立国語研究所室長現大学教授の肩書きを持つ筆者らしく、適切に分析がなされていると思う。
ただ、本書は分析は適切でも、一般的な結論や法則が明確に導かれていないのだ。

この本を読んだ私の感想は、日本語の表現においては、多種の表現があるので、文章を書くときには(特にBlogの文章等明確に書式の決まっていないものについては)気をつけようと思ったのだが、どう気をつけるかまでは分からないままである。

日本語を何気なく使っていた人には目から鱗が落ちるように感じられるであろうが、それも最初の1/3ぐらいまでであり、そこから後は結論が明確でない煮たような文章が続くので、苦痛を感じる。
本としての眼の付け所はいいのだから、もう少し法則化するなり、結論をはっきり書くなりして分かりやすくしてほしかった。

☆★(☆一つ半)




他のブログの反応等は少ないので、リンク無しです。
amazonレビューでは五つ星をつけて目から鱗が落ちたと評している人がいますが、目から鱗が落ちた先の行動が示されていないので私の評価は低いです。
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