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梁山泊の最終兵器登場:水滸伝18 [小説]


水滸伝 (18) (集英社文庫 (き3-61))

水滸伝 (18) (集英社文庫 (き3-61))

  • 作者: 北方 謙三
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/03/19
  • メディア: 文庫



16巻のエントリ
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-01-27
17巻のエントリ
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-02-21-1

北方謙三の水滸伝18巻。最後の2巻は続きで読もうと思い、積読で取っておいたのにやっと手をつけている。
本書でも北方謙三独特の世界観は健在。

本書では最強の敵童貫にジワジワと追い詰められている梁山泊軍に、最終兵器とも言うべき楊令が加わる。
本書はまさしく楊令のために書かれた物語であると言える。

官軍との戦いの戦況については、17巻から本格化した童貫の攻撃に対して追い詰められる一方だった梁山泊が、持てる力を発揮して反撃を加えるのが本18巻だが、反撃に伴って多大な犠牲が払われている。
いちいちすべての人名を挙げることは無いが、二竜山の最高司令官秦明や梁山泊最強の武将である林冲、私がひそかにファンであった解珍までもが死んでいく。しかし、その死に様は十人十色でありながらどの人も見事であり、美しくすらある。

主要な人物が死ぬ一方で、楊令・郭勤のように新しい戦力は台頭してきているので、本書は世代交代が強く感じられる内容となっている。

楊令の物語と佳境に入った戦、世代交代の物語が一体となって、北方謙三ならではのスピード感で語られており、読んでいると圧倒されながらも楽しむことが出来る。
相変わらずオススメ度は高い作品である。

ただ、本書を読んでいて気になった点がひとつ。北方謙三の水滸伝は全19巻の物語だが、今のペースでは最後が駆け足になってしまうような気がしてならない。
最後の19巻を前にして若干不安になっているが、それでも楽しませてくれるはずと言う期待もあるので、19巻を読み終わった後に不安が的中したかどうかはコメントしたい。

付け足しのようになるが、本書で楊令の次に目立っているのは呉用。今まで、精神が壊れかかっているように描かれたり、嫌われる様が多く書かれているが、この人物が人間らしさと努力の跡を見せているので、急に親しみがわくいい味をした好漢に見えてくる。これも本書の見所であり、サプライズである。
呉用のようなポジションにいる人間は嫌われ・避けられるのが常であろうが、そういった人でも実はすばらしい人もいると言うのがよくわかり、私はすごく感動し・納得させられた。

☆☆☆☆(☆四つ)




他のブログの反応はこちら等。
皆さんべた褒めに近い好反応です。
18巻のエントリと言うことは、ここまで続けて読んでいる人なので当然と言えば当然ですが。
http://seitaishi.livedoor.biz/archives/51197097.html
http://blog.livedoor.jp/dick21/archives/51336962.html
http://d.hatena.ne.jp/umineko01/20080321/1206095572

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コメント 2

ディック

「ディックの本棚」のディックです。
第19巻、とくに駆け足という感じもなく、いつもと同じと受けとめましたが、でも「楊令伝」を読みたくてたまらなくなります。
by ディック (2008-05-20 21:28) 

book-sk

>ディックさん
コメントありがとうございます。
確かに19巻は特に駆け足と言うこともなくでしたね。
生き残った人と死んだ人のコントラストが見事なので楊令伝は読みたくなりました。
by book-sk (2008-05-20 21:58) 

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