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貫井徳郎の代表作たりうる:夜想 [小説]


夜想

夜想

  • 作者: 貫井 徳郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 単行本


私のお気に入り作家の一人貫井徳郎の最新作。
本書は貫井徳郎の代表作と言っても良いクオリティの小説に仕上がっている。

衝撃的なデビュー作であった「慟哭」並みの迫力を持ち、「さよならの代わりに」で感じられた切なさも併せ持っている。本書は貫井徳郎のファンにも薦められるし、初めて読む人にも筆者の代表作として薦められる作品になっている。

本書は交通事故で妻と子を亡くした主人公:雪藤が、人の残留思念を感じることの出来る若い女であるヒロイン:遥と出会い、自分の悲しみに共感してくれたことをきっかけに、引き込まれ、依存していく。そして、遥の力で多くの人を救うべく、宗教じみた活動にのめりこむようになる。
一方、娘:亜由美を異常に愛する母:嘉子は娘の家出に心を痛め、病的なまでの執念で娘を探す過程で、新興宗教の教祖として有名になっていた遥と出会うことになる。
嘉子と遥が出会ったときに、物語は急展開し、意外なラストを迎える。

ネタバレを防ぐため、非常にざっくりとあらすじを書いたが、貫井徳郎の得意ジャンルとも言えるストーリー展開である。得意ジャンルで今まで最高クラスの出来を発揮したのが、本書であると言える。
愚行録」の様な目新しさがないのは残念と言え無くはないが、その分クオリティは高い。
一長一短であると言えよう。

特にラストで見せる主人公:雪堂の心の動きと、強くなった主人公の想いには感動せずにはいられない。切なさと、新しい明日を見据える力強さは本書のどんでん返しであり、最大の山場と言える。

目新しさを求める貫井徳郎ファン以外なら、安心してオススメできる秀作であると思う。

☆☆☆☆(☆四つ)




他のブログの反応はこちら等。
意外と反応は良好一辺倒ではないことに逆にびっくり。凄い本だと思うんだけど、難しいところがあるし、ラストも衝撃的なんだけど人を選びそうだからかな。私はこの本は是非読んでほしい作品なのだけど……。
http://arukakat-books.blog.so-net.ne.jp/2008-06-04_yasou
http://ameblo.jp/mars-omar/entry-10091815857.html
http://wadainohon.seesaa.net/article/88249999.html
http://blog.goo.ne.jp/river2006/e/e8f9e0f16d6e5b306b3eb12fb3677e54


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