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漫画好きが楽しむような小説:零崎軋識の人間ノック [小説]


零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)

零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)

  • 作者: 西尾 維新
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/11/08
  • メディア: 新書



前作の「零崎双識の人間試験」を読んだときは意味不明だったが、「クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識 」を読んだのを機に、本書に挑戦した。

これは漫画をそのまま小説にしたような作品だ。漫画を受け付けない人にはまず無理だろう。荒唐無稽、キャラクター重視、迫力重視の漫画的作品。ネット風に言うなら中二病要素満載の作品である。

(参考)
零崎双識の人間試験」のエントリ
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-05-31

クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識 」のエントリ
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-08-22

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い」のエントリ
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-04-24

本書のストーリーは零崎軋識を軸に、他の零崎一賊や哀川潤、他の殺し名のメンバーなど、個性豊かなキャラクターが大活躍するストーリーである。
一応、話の筋はいろいろあるのだけど、基本的にはキャラクターの活躍を楽しみ、魅力に浸るための小説なので細かな話の筋はあまり意味をなさないだろう。

本書がすばらしいのは、中二病満載の強いキャラクターが次々に出てくる小説でありながら、物語が破綻していないところである。この手の小説を読み慣れない人は、こんな物のどこがいいのかわからないだろう。おそらく、低俗でレベルが低いと思う人も多いだろう。
しかし、昔からこの手の英雄譚はどこにでもある物であり、山田風太郎の忍者物もそうだし、古典でも日本の太平記などはそういった雰囲気に満ちている。中国の水滸伝なんて、もろに中二病的な誇大妄想物語だ。

キャラクターに魅力を感じていない人にはつらいが、好きなキャラクターを作れる人や、次はどんなのが出てくるのだろうと単純に楽しむことができる人なら十分に楽しめる。本編とちがって、ミステリ的な要素はなく、本当にキャラクターだけの小説である。それが苦手な人は本当にだめだろう。
私は恋愛だけを描いた小説はほとんど受け付けないが、本書も同じように形式だけで受け付けない人が多いことも容易に想像がつく。

ポジティブな視点から大げさに言えば、本書は水滸伝や太平記の英雄を描いたストーリーを、今の若者視点で作ったような物であり、新たな大河キャラクター小説の登場である。

☆☆☆(☆三つ)

他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブなエントリ)
http://rikiti.blog70.fc2.com/blog-entry-157.html
http://blog.goo.ne.jp/izumiyou_sacrifce/e/57ec69c1ba593006209ecdf0ac9c3283
http://nemuchi.blog106.fc2.com/blog-entry-290.html
http://d.hatena.ne.jp/c-pete/20080130/p1
(ニュートラルなエントリ)
http://d.hatena.ne.jp/chen/20080810/p1
http://issatu.blog32.fc2.com/blog-entry-98.html
http://blog.goo.ne.jp/itumademoaoku/e/df9935bbb347faf0b521506b83c41caf

なんか、西尾維新について書いた他人のエントリを読むのはつらいね。
若さに圧倒されるというか、違う種類の人を見るようだというか……。
でも、そんな違う種類の人の一片を、本を通じて垣間見るのも悪くないか。






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