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よく知られた退廃的な作品:富岳百景・走れメロス 他八篇 [小説]


富嶽百景・走れメロス 他八篇 (岩波文庫)

富嶽百景・走れメロス 他八篇 (岩波文庫)

  • 作者: 太宰 治
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1968/01
  • メディア: 文庫



伊坂幸太郎が「重力ピエロ」で引用し、森見登美彦はそのまんまのパロディ「新釈 走れメロス 他四篇」を記すなど、知名度抜群の太宰治の作品。
重力ピエロ」を読んで久しぶりに読み返してみたのだが、やっぱり退廃的というか、重たいというか、独特のオーラをまとっている。
個人的には正直苦手だ。

【収録作品】
魚服記
ロマネスク
満願
富岳百景
女生徒
八十八夜
駆け込み訴え
走れメロス
きりぎりす
東京八景


教科書などで有名な作品も多く収録されている本書。知名度的には表題の2作が有名なのだろう。
本書に掲載されているのは、全て退廃的で、重たいオーラに包まれている。一般の人が太宰治の作品と言われて、思い浮かべるようなトーンの作品が多い。

学生時代以来、久しぶりに読み返してみたが、今読み返して一番いいと思ったのは「駆け込み訴え」。太宰の宗教観、神への思いが垣間見られるような気がする。
「走れメロス」はさすがに名作だと思うし、「きりぎりす」もうっとうしいながらも、文章はすばらしいし、目の付け所は悪くない。

太宰って、自分は好きだけど、人と素直に接することは苦手だったんじゃないかな?

ただ、全体的に精神を病んでいるのがわかる様な文書だし、どうでもいいようなことにうじうじと悩んでいるように思えるので、私個人は大絶賛とまでは行かない。
好みの問題なのだが、そんなことで悩めるのはいい身分だとしか思えないのだ。

良くも悪くも、本を読むと言うことが、一部の特別な人の趣味であった時代の作品だと感じられる。

☆☆☆☆(☆四つ)

【関連エントリ】
私が再読しようと思ったきっかけとなった、伊坂幸太郎「重力ピエロ」
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-10-06
そのまんまのパロディ、森見登美彦「新編 走れメロス」。個人的にはこのくらいアホらしい方が好きです。
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-03-24


他のBlogの反応はこちら等。
角川の新訂版の方が有名らしく、こちらのエントリが多かったです。
http://all-things-must-pass.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-502d.html
http://d.hatena.ne.jp/pndm/20080910/p1
http://piaa0117.blog6.fc2.com/blog-entry-757.html

走れメロス 新装版 (角川文庫 た 1-3)

走れメロス 新装版 (角川文庫 た 1-3)

  • 作者: 太宰 治
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 文庫



思いは人それぞれだけど、やっぱりいい作品であることには間違いなく、すばらしい評価をしているエントリは多い。
私も作品自体はすばらしいと思いますよ。気分とか、好みによって様々な受け取り方をされそうだけど……。





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