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青春小説風味のミステリ:カクレカラクリ [小説]


カクレカラクリ (講談社ノベルス モF- 42)

カクレカラクリ (講談社ノベルス モF- 42)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/07/08
  • メディア: 新書



森博嗣がコカコーラとタイアップして書いたという作品。そのため、ヒロインの妹は常にコカコーラを持っている。
本書はミステリなのだが、ミステリとしての謎解きは、さほどおもしろいものではない。しかし、青春小説としてはかなり上出来の部類だし、おもちゃの働き・効能については、趣味人の森博嗣が書いただけあって、感心させられること間違いなし。

本書のネタバレにならない程度のあらすじは、大学工学部の男子学生2人が、あこがれのヒロイン(大学の同級生)の実家で、カクレカラクリと呼ばれる、120年前に作成された絡繰りに隠されたお宝を探すというもの。
大学生の男女二人に、ヒロインの妹とその同級生が、120年前に隠された絡繰りを探す過程が、夏休みの冒険としてわくわく感いっぱいに描かれている。

正直、ミステリとしての謎解きはよくこんなことを考えたと感心することはない。120年動き続ける機械を120年前の技術で作成することは難しいという当たり前の事実と、天才絡繰り師ならどんな思考を持って120年後に絡繰りを残そうとするのかという思考のトレースはすばらしいが、多くの人がミステリとして思い浮かべるような謎解きは存在しない。

ただ、男女5人の夏休みの冒険・お遊びとしてみれば、非常にわくわくするストーリーであるし、ストーリーの結末を知った後の登場人物の振る舞いはすがすがしく、見ていて非常に楽しめる。
私がこの小説で一番好きなのはエピローグの部分である。

また、本書のもう一つの見所は、おもちゃはどんな役に立つのか、人にどんな影響を与えるのかと言った描写。一級のおもちゃが人に与える影響の描写は、森博嗣ならではと言っていい厚みがあると思う。

全体的にはおもしろい作品であり、最近読んだ森博嗣の作品の中では一番に推すことのできる作品である。

☆☆☆☆(☆四つ)

他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://fondmetal.blog.so-net.ne.jp/2008-09-27-1
http://d.hatena.ne.jp/miyabi-tale/20080821/1219281400
http://diary.jp.aol.com/qwjuxdyzh2/1433.html
(ニュートラルな評価のエントリ)
http://eroore.blog40.fc2.com/blog-entry-188.html
http://lovetom.jugem.jp/?eid=383
http://blog.goo.ne.jp/elfin-719/e/e20148b7acfeda7dfe0c07aa2b4f1c18

ドラマ化もされているようなので、そっちへの言及も多かったです。
ただ、私の感想がポジティブな評価のエントリでは意外と多数派であったことを知り、意外に思いました。
このように他のBlogのエントリを見て、自分と同じ感じの評価が多数派であることは意外と少ないのですが……。









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