この国の常識と言うよりも、マスコミの常識:この国の経済常識はウソばかり [経済]
この国で広く信じられている経済常識の嘘・問題点について指摘した本書。
と言っても、ネット・Blog界隈ではもはやこの本で糾弾されているような事実は「常識」で無くなっている。古い常識に縛られているのはこの国の「マスコミ」だ。
【目次】
第一講 時間が重圧になる時代の経済学
第二講 経済をサキヨミするためには記憶を消せ
第三講 経済的に追い込まれた若者に逆転は可能か
第四講 流転する経済法則とそのジレンマ
第五講 金融立国に変身できないこれだけの理由
第六講 日本型資本主義は家族の敵である
第七講 アラフォーのためのマイホーム経済学
補講 この国の財政再建は夢のまた夢
本書で嘘であると指摘されている経済常識は、若いうちは給料が低くてもだんだん豊かになれる社会の有効性・ケインズ政策の有効性・老人は経済弱者・価格リスクの恐怖・マイホーム購入の経済的優位性と言ったところ。
特に、「老人は(経済)弱者である」という、マスコミでは何の証明もなく、当然として扱われていることに対してその欺瞞を暴くのは小気味良い。
ネット界隈の経済記事ではもはや常識なのだが、紙の本で書かれたことには一定の意味があるだろう。
今の老人は、幸いなことに日本経済が右肩上がりだった時代に財産を築き、年金・健康保険等の社会保障もほころびが見えたとは言え、しっかりその役目を果たすぐらいの形はとどめている。
加えて、人口が多く政治力が強いので、既得権ががっちりと守られている。
政治力が弱く、国際競争力に晒されている若者の経済的立場からすると天と地ほどの差がある。
思うに、諸悪の根源は「老人は経済的弱者」と言う老人のプロパガンダが常識になってしまっていることなのだ。
内閣府の調査にもあるように、15歳~24歳の世代は「国民負担を増やしても、社会保障額を維持すべきだ」と言う意見に賛成する人が多いという。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/dp082-1.pdf
内閣府では、「当該年齢層においては就業率が低いために負担そのものがなく、実感が乏しいことが考えられる。」としている。それも一因ではあろうが、私は学校の教育において、「老人は経済弱者」という誤った常識を、明示的では二にせよ教えられていることに原因があるように思えてならない。
そういった偏見によって政策がゆがめられることがないように、日本の子供たちには、正しい経済学を教えてほしいと思う。(新聞、TVに出ている経済学者のレベルを見ると、経済学教育は難しそうだと思うが……)
最後に、本書は過度に財政再建を重視している。与謝野馨のようだ。
この態度は日本経済を見ると正しい態度ではないと思うので、そこだけは問題を指摘しておく。
☆☆☆★(☆三つ半)
他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://www.amanosaizo.com/amen/2008/11/20081029-a366.html
http://booklog.kinokuniya.co.jp/mt-tb.cgi/2992
http://d.hatena.ne.jp/tazan/20080925
http://yo-shi.cocolog-nifty.com/honyomi/2008/10/post-f1c2.html
(ニュートラルな評価のエントリ)
http://ueshin.blog60.fc2.com/blog-entry-1138.html
(ネガティブな評価のエントリ)
http://www.kanadas.com/weblog/2008/11/post_769.html
(貞子ちゃんの連れ連れ日記でも絶賛されています)
http://diary.jp.aol.com/uvsmfn2xc/1147.html
エントリ全般的に、「当たり前のことだけど、納得した」とか、「当たり前すぎて失望した」という論調のエントリが多い。Blogを書くような人にとっては、本書で指摘されている「常識」はもはや過去のものなのだ。
では、誰がそういったカビの生えた「常識」を信じ込んでいるのか?
新聞・TVと言った古いメディアからしか情報を得られない人だろう。
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