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素人の意見に価値が無くなった [opinion]

毎日・産経が半期赤字転落 「新聞の危機」いよいよ表面化
http://www.j-cast.com/2008/12/26033024.html

新聞の売り上げが大きく落ち込み、朝日・毎日・産経が赤字に転落したという話。
このことについては、多くのBlogで語られている。

私がこのニュースを読んで思ったのは「素人の意見に価値が無くなった」ことを新聞社が気づいていないことが新聞の価値を大きく損なっているのではないかと言うことだ。

私もネットに接続する環境があるので、当然新聞は取っていないのだが、正月に帰省して久々に新聞を読むに当たって、何故新聞が売れなくなったのだろうかと考えながら読んでみた。

そのときに思いついた仮説の一つが、今や素人の意見に価値が無くなったのに、そのことに新聞社が気づいていないので顧客が価値を感じるコンテンツを提供できていないのではないかと言うことだ。

大学進学率が10%台であった1960年代においては、専門家の難しい意見を理解できる人は少なかっただろうし、額のある素人の意見に価値を見いだす人が多かったのだろう。学問を受けることが難しかったと時代背景から、専門家の数も少なくて、その不足を補う意味もあったのかもしれない。

少し時代が進んで大学進学率が30%台となった1970~1980年代においても、一般人が多くの人に届く形で意見を発出することができなかったため、問題に対して他の人はどう考えているかを知ると言う点において素人の意見が必要とされていたのだろう。
他の多くの人はこのように思っている、と言うのが新聞における素人の意見の価値であったため、この時代は、新聞がまさに「世論」を形成できていた時代なのだろう。

しかし、上記のような素人の意見に価値を見いだしていたと思われる背景は今や存在しない。
大学進学率は増える一方なので、新聞記者の表現に感心することはごく稀にあっても、新聞記者の知識に感心することは無くなった。
他方、インターネットの発達によって、素人の意見はインターネット空間に無料であふれ、新聞で他の人がどう考えているかを知る必要性もなくなった。

つまり、素人の意見を無料で大量に見られるようになった今では、素人の意見に価値はなくなり、専門家の意見こそが価値あるものとして渇望されている。

ここで、手元に新聞がある人はその中身をざっと見て、素人の意見とプロの意見の割合を眺めてみてほしい。
ほとんどが素人の意見であることがわかるはずだ
「解説」となっているところでも、ほとんどは専門の学者や当事者ではなく、素人である新聞記者が書いている。
一枚めくったところに大きなスペースを取っている「社説」は給料の高い人が書いているみたいだが、「社説」こそ「素人の意見」の代表例であり、今の読者には何の価値も提供できていない。
素人の意見に加えて、スポーツの結果、発生した事件、政府・企業発表等の単なる事実を除けば、新聞に載っている専門家の意見のスペースはほとんど無いと言っても過言ではない。

インターネットでは、404 Blog Not Foundさんや、Chikirinの日記さんのような新聞記者よりは深い考察がされていて、なおかつ面白い「素人の意見」が無料で読める。
ジャンルによっては、専門家の意見を読むことができるものも多い(404 Blog Not Foundさんも、インターネット・プログラム系の話題では専門家ですし)。

このような環境にあって、「素人の意見」に価値があると思い続けている新聞社が、読者からそっぽを向かれるのは当然ではないだろうか。


蛇足だが、TVにもこのことは当てはまる。視聴者の多くは古舘伊知郎やみのもんた、その他「ワイドショーのコメンテータ」の意見に価値を見いだすことはないであろう。
バラエティ偏重から、報道回帰が言われているらしいが、素人の意見が価値を持たないことに気づいている感じはないので、TVの凋落も当面止まらないのではないだろうか。







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