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スプラッタ・ホラー注目の新人登場:粘膜人間 [小説]


粘膜人間 (角川ホラー文庫)

粘膜人間 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 飴村 行
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/10/25
  • メディア: 文庫



日本ホラー小説大賞の長編賞受賞作。
グロテスクで、スプラッタなホラーが楽しめる。非常にグロいので朝の通勤電車で読むのはあまりオススメできないが……。
本書のストーリー

舞台は戦前の日本に似た世界。
利一と祐二の兄弟は、10歳ながら190センチ100kgを超える体格を持つ、横暴な異母弟雷太を殺害することを河童に依頼する。河童に対する報酬として、非国民として差別されている清美を与えることを約束する。
一方、その清美は憲兵に薬物を用いた拷問をされており、精神を病んでいる。そして、雷太・清美・河童の運命は工作し、おどろおどろしい世界を構成していく。


昔話のほのぼのとした世界でしかお目にかかれない、河童を非常にグロテスクに描いている。
緑色の粘膜で覆われており、透明な頭蓋骨のような半球状の皿。口からは毒性のある痰を吐き、考え方も非常に残忍。このような河童のキャラクター造形をした筆者は独特の味を出している。

そのほかにも、死ぬ瞬間を体験する拷問薬物「髑髏」と、それを注射された清美の串刺し体験はまさにスプラッタ。
加えて、雷太の母親がSMのワンシーンのような拷問を受けるエロチックなシーン、毒猫の毒にやられた人間が緑色のどろどろとした物体に変化して、骨以外は全て溶けてしまうシーンなど、グロテスクなシーンが満載である。

スプラッタ・ホラーとしては注目の新人が登場したと言うことなのだろう。
子供には決してみせることのできない、毒々しい小説だが、そういうのが好きな人は是非是非挑戦して貰いたい。値段以上の恐怖に襲われること間違いなしだ。

☆☆☆(☆三つ)

他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://plaza.rakuten.co.jp/shishotsukasa/diary/200812090000/
http://takaya794.blog54.fc2.com/blog-entry-3.html
http://loophole.at.webry.info/200901/article_9.html
(中間的な評価のエントリ)
http://d.hatena.ne.jp/goldwell/20090131/1233401394
http://d.hatena.ne.jp/mxnishi/20081227/1230388437

作家歴が浅いだけに、突っ込み所はあるのだが、それを補う迫力。
「気持ち悪い」は本書にとってはほめ言葉だ。






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コメント 2

miyo

遅くなりましたがTB有り難うございます。
グロテスクな描写はかなりのものでしたね。構成やアイデアも面白いと思いました。
ホラー大賞の受賞者で、私が素晴らしいと感じたのは『岩井志麻子』『小林泰三』『恒川光太郎』の3方です。他の受賞者の方々も素晴らしいのですが、この3方は特に素晴らしいと思いました。
by miyo (2009-02-11 17:55) 

book-sk

>miyoさん
コメントありがとうございます。
グロテスク描写と、アイデア・目の付け所は光るモノがありますよね。
ホラー大賞出身者なら私は貴志祐介はホラー以外も含めて面白いと思っています。岩井志麻子も良いですよね。

by book-sk (2009-02-11 22:50) 

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