アフリカが独り立ちする日は遙か遠い：アフリカ 苦悩する大陸 [社会]
- 作者: ロバート ゲスト
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/05
- メディア: 単行本
エコノミスト紙の記者を務めた筆者が、アフリカの現状についてレポートした本。
本書を読むと、アフリカがアジアはおろか、南米の発展途上国にもほど遠いことがよくわかる。
少なくとも、本書を読むと南アフリカランドに投資する気なんて一発で失せてしまう。
【目次】
第1章 吸血国家―エリートによる、エリートのための独裁主義
第2章 ダイヤを掘る、墓穴を掘る
第3章 「眠れる資産」が繁栄へ道を拓く
第4章 セックスは死と隣り合わせ
第5章 宿怨の三つの温床―部族主義、派閥主義、人種主義
第6章 どうする?援助と自由貿易
第7章 でこぼこ道と盗人警官
第8章 ハイテク技術は「貧困」を救えるか?
第9章 南アフリカは「希望の星」になれるか?
結論 一歩ずつ確実に―「豊かな」未来へ向けて
本書は、アフリカの現状をレポートし、問題点を簡潔にまとめた良書。
筆者が指摘するアフリカの問題点はシンプルで、以下の2点に集約される。
１．アフリカの首脳・エリート層が国民の財産を私物化してしまう。
２．アフリカの多くの人はアフリカが貧しいことを誰か（主に過去の植民地支配）のせいにして真剣に問題と向き合わない。
この2点によって、アフリカの多くの国々が経済成長とはほど遠い極貧の生活を送っている。
特に1番の問題点は深刻で、現在の独立国としての扱いが向いていないのではないかと思ってしまう。
部族の代表として利益誘導することを当然と思っている政治家、公金を私のために使うことが当然だと思っている官僚、人種差別解消のためのアファーマティブアクションを逆手にとって利益誘導する企業家等々。
日本でもこのような傾向はあるが、ハッキリ言って桁が違う。アフリカの国々における役人の腐敗は国の形態をなしていない。
ハイパーインフレで有名なジンバブエのムガベ大統領はアフリカの中でぶっちぎりのワーストではない。似たような国家首脳が掃いて捨てるほどいるのがアフリカなのだ。
おそらく独立国として国境を引くときに、部族・地形にとらわれずに当時の列強諸国の都合が良いように国境を設定したため、本来だとやっていけない独立国がいっぱいできてしまったのが原因だろう。
アフリカ諸国がまともな国家としてやって行くには、一度国境を引き直すぐらいの荒療治が必要なのだろうが、現在の人道的な国際社会においてはそんなことはできようはずもない。
2chの「ヨハネスブルクのガイドライン」で有名なヨハネスブルクを首都とする南アフリカはそれでもアフリカ一の先進国で、アフリカの希望だし、アフリカ人が問題を直視せずに人のせいにし続けることは韓国・北朝鮮の比ではない。
このような現状から鑑みるに、おそらく、アフリカ諸国はこれからも今まで同様に最貧国の集まりであり続けるのだろう。今の国際社会の枠組みではどうしようもないことなのだろう。
ハッキリ言うと、アフリカの国々の多くが独立してはいけない国々だったのだ。
残酷なようだけれど、現実をしっかりと見つめることのできる良い本である。
☆☆☆☆★（☆四つ半）
参考：アフリカに多く存在する最貧国の問題を扱った「最底辺の10億人」のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2009-02-01
他のBlogの反応はこちら等。
（ポジティブな評価のエントリ）
http://huzu.cocolog-nifty.com/huzu/2009/02/post-2400.html
http://blog.goo.ne.jp/livin-nt/e/b49c213c194ceb314faef3c8f38dcaf3
http://kaysaka.blog.so-net.ne.jp/2009-01-21
http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2008/08/post_0ec1.html
http://d.hatena.ne.jp/gurigurico/20090117/1232336906
http://yo-shi.cocolog-nifty.com/honyomi/2008/12/post-2901.html
http://blog.goo.ne.jp/mistyrose33147/e/0f4833907b9a71e86b0fbd03bdcda9d6
皆さん本としての評価は高い。読後の感想は、私のようにアフリカは駄目だという結論と、それでも希望を見いだす人とで分かれているのも興味深いです。
カスタム検索
コメント 0