救国の聖女と陰の男:傭兵ピエール [小説]
漫画化もされている本書。
歴史を元にした、if系の小説なのだが、非常に深い知識に裏打ちされていて違和感がない上に、小説としての完成度も高く、一気に読んでしまう出来である。
本書のストーリー
100年戦争の時代、フランス・アンジュー地方の傭兵団の頭を務めるピエールは、貴族とおぼしき一団を襲う。その集団の主人は、自らが女であることを明かし、フランスを救った後に処女を捧げるとピエールに約束する。
彼女の名はジャンヌ・ダルク。オルレアンにて待っているとピエールに告げる。
ジャンヌ・ダルクの活躍をベースにした本書。
ネタバレになると面白みが半減する類の小説なので、詳細なストーリーは避けるが、ジャンヌ・ダルクの活躍の陰に存在する主人公ピエールの活躍が手に汗を握る展開で、引き込まれる力に満ちた小説である。
本書がすごいのは、100年戦争時代のフランスの生活を描いたディテール。当時の傭兵・貴族・農民がどういう生活をしていたのか、どういうものを食べていたのか、戦場ではどのような戦いが行われていたのかなど細部が非常にしっかりとしているので、内容に違和感なく入っていくことができる。
そして、傭兵ピエールの活躍も一難去ってまた一難といった感じで、西遊記のようなはらはらどきどきを味わうことが出来、読んでいて飽きることがない。
漫画版も良い出来なのだが、文庫化されていることもあるので、小説に挑戦してみてほしい。
分量自体は多いのだが、一気に読ませる力に満ちた小説なので、苦労をすることはないはずだ。
☆☆☆☆(☆四つ)
他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://achikoa.blog75.fc2.com/blog-entry-3.html
http://wadatumi.blog75.fc2.com/blog-entry-590.html
http://d.hatena.ne.jp/paseyo/20080924/p1
http://ameblo.jp/tujigiri/entry-10006404854.html
http://coco2.cocolog-nifty.com/coco2book/2008/05/post_f254.html
http://ameblo.jp/kotora/entry-10005780952.html
悪い評価のエントリは少ないんだけど、本書を「ハッピーエンド」と評価しているエントリが意外と多くてびっくり。
見方によってはハッピーエンドと言えなくもないかもしれないが、私は断じてハッピーエンドではないと思う。
このあたりは読む人の年齢と送ってきた人生に左右されるのかもしれない。
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