若い頃の繊細な気持ちを思い起こす:インストール [小説]
久々の純文学。
テンポの良い表現で、若者特有のふにゃふにゃした、柔らかい自分を扱いかねている状況をうまく表現している。
【収録作】
インストール
You can keep it
純文学の中ではよく売れるらしい綿矢りさの作品。
確かに、わかりにくい部分が少なくすらすらとテンポ良く読める上に、比較的ありそうな主人公たちなので、その思考も理解しやすい。
本書は、二つの作品が収録されているが、どちらの作品も若者が自分自信を掴みかねている状況がうまく伝わってくる。
そもそも、若いうちは何者にもなることができる柔軟性を持っている代わりに、自我がしっかり固まっていないので、多くの人は自分自身を扱いかねることがあるはずだ。
まるで、柔らかくて壊れやすいものを扱いかねるように……。
本書の主人公は、「インストール」が高校生、「You can keep it」は大学生。
だんだん可能性と引き替えに自我が固まってくるのだけど、その固まってくる自我になれることができずに戸惑っている。そんな昔の記憶を思い起こす作品であった。
テンポが良く読みやすい作品なので、純文学は嫌いだけど、作品の幅を広げてみたい人にはお勧めできる。
純文学だけあって、ストーリーに対する驚きみたいなものは無いのだけど。
☆☆☆★(☆三つ半)
他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://blogs.yahoo.co.jp/hadukiyuuri198702001/12419555.html
http://minakamik.blog56.fc2.com/blog-entry-7.html
http://ameblo.jp/convine/entry-10218634978.html
http://blog.goo.ne.jp/tatsuya-0710/e/277718e16c28ea404b2cf26721b44f81
(微妙な評価のエントリ)
http://d.hatena.ne.jp/su14s/20081204/1228398614
評価はいろいろなんだけど、それ以上にエントリの検索が難しい。
有名な筆者の上に、タイトルが一般語過ぎて、関係ないエントリが多くヒットする。
インターネットで感想を探すには向いていない作品でしょうな。
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