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ワークシェアに抱く危機感 [opinion]

「日本型ワークシェア、政労使合意へ 不協和音も痛み分け」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090319-00000023-fsi-bus_all
仕事を分け合い、雇用を維持するワークシェアリングの導入に向けて、政府と日本経団連、連合の政労使3者が23日に合意する見通しとなった。労使は「日本型ワークシェア」を推進する一方、政府は雇用調整助成金を活用したワークシェア導入企業の支援制度を新たに整備。労使の取り組みを後押しする。政労使がワークシェア関連で合意文書をまとめるのは2002年以来7年ぶり。景気悪化が深刻さを増す中、雇用安定化に向けて企業のワークシェア導入が本格化しそうだ。
(後略)


不況のあおりを受けて、ワークシェアに関する議論を見ることが多くなった。
解雇・契約解除に対する風当たりは異様に強いのに対して、ワークシェアには表だった反論が少ないので、積極的に検討されているのだろう。
しかし、現行で検討されているワークシェアには大きな問題があると思っている。


東京の人はピンとこないかもしれないが、地方では一番儲かる職業が公務員であるというのは半ば常識になりつつある。
以下の記事を参考として見てほしい。公務員も民間も全国平均以下の給与でも公務員の方が給与が高いこともざらだし、市町村も考えると、公務員の方が儲かる地域は思っているより多いのが現状だと思う。

「11府県の給与 民間は平均以下でも公務員は“割高”」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090311-00000507-san-pol
徳島、大分、茨城など11府県で公務員の給与が地元の民間企業の従業員の給与に比べ割高なことが、内閣府の調査で分かった。
 各都道府県の公務員と民間の給与を、それぞれの全国平均と比べたところ、民間が全国平均を下回っているにもかかわらず、公務員は全国平均を上回っていた。
 地方公務員の給与は、地元の民間と国家公務員の給与を参考に決めることになっている。11府県は、民間が中央との地域間格差があるにもかかわらず、公務員は格差がないどころか、優遇されていることになる。


こうなってしまうと、その地方でがんばってお金を稼ごうとする野心のある人が公務員に吸収されてしまい、民間には公務員になれない人しか集まらなくなる。
これじゃあ地方が衰退していくのも当然だ。
地方では思い切って公務員の給与を下げないと、地方再生を担う人材を飼い殺す結果になってしまう。


前置きが長くなったけど、ワークシェアリングも同じ効果を国家規模でもたらす恐れはないだろうか?
民間、特に製造業あたりでワークシェアを実施して、給与が80%程度の水準になると、全部ではないとは言え一定の残業も付けられる公務員の方が儲かるようになるだろう。
●民間企業は給与は安いけど、労働時間は短い。
●公務員になると、ハードワークだけどお金はたくさん稼ぐことができる。

こんな未来が到来したら、がんがん稼ごうとする野心的な人は起業する一部を除いて公務員になってしまい、ほどほどでいいやと言う保守的な人が民間企業に行くようになる。
明らかに人材のミスマッチが生み出されてしまうのだ。
こんな未来を到来させると日本の経済は衰退していく一方になってしまうだろう。

ワークシェア期間が短くて、すぐに民間の方が給与が良くなることが見通せるなら、上記のような事態は起こらないだろうが、現在の30代半ば以降の人は実感を伴った好景気をほとんど経験していない。
(小泉政権下最後の2年ぐらいは、景気が良かったので、そこだけは例外的に好景気のイメージがあるだろうけど)
今後新たに就職する人は、物心ついてからの多くの時間を不景気の中ですごしてきた世代なので、景気が回復してワークシェアが短期間で終わるとは思えないのではないだろうか。

人材のミスマッチを生み出す様なワークシェアリングを実施するのではなく、正社員解雇・減給をもっと自由にすることで、雇用を守る方が経済の活力は失われないで済むのでは無かろうか。
どうしてもワークシェアを進めるなら、公務員から優先的に実施しなければならないと思う。







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