SSブログ

いい年した大人の子供っぽい知的好奇心:密室入門! [その他]


密室入門! (ナレッジエンタ読本14)

密室入門! (ナレッジエンタ読本14)

  • 作者: 有栖川有栖(ミステリ作家)×安井俊夫(一級建築士)
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2008/11/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ミステリ作家の有栖川有栖と建築士の安井俊夫の対談本。
ミステリ作家とミステリマニアが「密室」について熱く語るというおバカ本である。路線としては「空想科学読本」とかそれ系。
マニアの熱さにあふれているが、文章自体は対談形式で進んでいき話し言葉で非常に読みやすい。

【目次】
[1]密室とはいかなるものか
[2]密室の分類
[3]密室を建築から考える
[4]作家が知りたい建築事情
[5]ミステリと建築の密接な関係
[6]密室の未来


本書の大まかな構成は、最初にミステリ作家有栖川有栖がミステリ小説についての「密室」についての定義と分類を語った後、建築士の安井俊夫が建築学の観点から「密室」について検証する構成になっている。

そして、建築学の観点からは本当の密室というのは存在しないと言う結論が語られている。
本書で語られている例だが、鉄板の壁・床に天上を鉄板で溶接してしまえば中に死体があるかどうかは誰もわからない。これでは「密室」として成立しない。

逆に、鍵のかかった扉、窓とはいえ、現在の建築では様々な方法で物の出し入れが可能である。
詳細は本書を見て貰うとしても、個々の理論付けについては非常にマニアックに詰められておりミステリファンなら読んでいて思わずにやりとしてしまう。
例えば「建築基準法改正によって24時間換気が義務づけられたので、部屋の扉の下には隙間が作られることが多い」とか「日本建築は開かれた構成なので、基本的には密室に向いていない」など、ミステリファンが感心する蘊蓄や、語りたくなるテーマにあふれている。

タイトルからしてミステリファンを狙った物であることは明白だと思うが、本書はミステリに興味がないと全く楽しめない。逆に、ミステリが好きなら本書を読んで語りたくなること間違いなし。

私が本書を読んで一番残念なのは、感想をBlogでしか書けないことなのだ。誰かミステリファンと語り合いたくなるテイストにあふれている本なのだが……。

☆☆☆★(☆三つ半)

ちなみに、本書の最後に二人の著者が密室オススメミステリを3冊ずつ挙げている。
備忘のためにここに書いておくことにする。
●有栖川有栖
カーター・ディクスン:「爬虫類館の殺人
鮎川哲也:「悪魔はここに」中の「道化師の檻」
泡坂妻夫:「亜愛一郎の逃亡」中の「球形の楽園」

●安井俊夫
カーター・ディクスン:「白い僧院の殺人
ジョン・スラデック:「見えないグリーン
島田荘司:「斜め屋敷の犯罪 改訂完全版

島田荘司の「斜め屋敷」は実際に作ってみたいと言っているので、相当インパクトがあるのだろう。


他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://plaza.rakuten.co.jp/mousui/diary/200904230000/
http://d.hatena.ne.jp/pilate/20090607
http://blog.goo.ne.jp/viviandpiano/e/8977287b049a925a14e3a70c505ba297
http://horadeverdad.seesaa.net/article/113473467.html
http://pub.ne.jp/blue_blue/?entry_id=1866990
http://blog.goo.ne.jp/take_14/e/2678aa854d5beb8f0fec77fcea89becc

ミステリファンなら楽しめます。本当に。
それがわかるエントリが多かったです。







カスタム検索

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。