落ち着いたスパイ小説:沈底魚 [小説]
中国の諜報員と日本の防諜機関の暗闘をテーマにした本書。
スパイ小説だが、アクションシーンは少なめで、疑惑が疑惑を呼ぶ頭を使う展開がなされる。
本書の魅力は可能性が一つつぶれ、一つつぶれしているうちに、今まで怪しかった人が味方に見え、今まで怪しくなかった人が敵に見えるという、二転三転の展開である。
中国の諜報機関と対決する警視庁外事二課に所属する主人公が、自分の仲間さえ信じることが出来ない過酷な環境の中で神経をすり減らしながら事件と向き合う姿は、人を引きつける力を持っている。
スッキリとする出来事が少なく、テンポのいいアクションもないので若干重たいことは否めないが、そうした雰囲気が好きな人にはたまらない一冊だろう。
なお、本書で出てくるような諜報活動は実際にも行われており、国家の機密にかかわる仕事に就く人には実際に諜報活動に対する意識啓発・研修も行われている。
遠い世界の出来事と考えるのではなく、実際にあり得ることだというのを念頭に置いて読むと本書の面白さもいっそう増してくる。
☆☆☆(☆三つ)
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(ポジティブな評価のエントリ)
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評価の低いエントリが並ぶ。
個人的には悪くないと思ったのだが、売りに乏しいのかもしれない。
今風の小説ではないことは認めるけど……。
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