夢を見すぎていると売れ残りまっしぐら：崖っぷち高齢独身者 [社会]
- 作者: 樋口康彦
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/06/17
- メディア: 新書
40歳前後の筆者が自らの結婚相談所、お見合いパーティでの体験を元に書いた中年のための婚活本。
本書で言う”高齢独身者”とは、男性38歳・女性33歳以上の人を指し、そういった人々のダメさ加減が身も蓋もなく描かれている。
【目次】
いますぐ結婚活動を始めよう
1 お見合いパーティ編―114回の参加でつかんだ傾向と対策
お見合いパーティの基礎知識
お見合いパーティ・実践編
お見合いパーティの上級知識
2 結婚相談所編―5年間で68人とお見合いした私の成功と失敗
結婚相談所の基礎知識
結婚相談所・実践編
結婚相談所の上級知識
本書で書かれている、結婚相談所・お見合いパーティで出会った高齢独身者は一言で言うと「これはひどい」。
その年にもなって、結婚したいにもかかわらず結婚できていない人には、やはり何らかの欠陥があると言うことがハッキリわかる結果となっている。
初回の待ち合わせに遅刻したのに悪びれない人。
外見の管理が全く出来おらず、”醜”のアピールになってしまっている人。
相手とのコミュニケーションが全く取れない人。
などなど、ひどい実態が明らかになっている。
本書のAmazonでのレビューを見ていると、本書の身も蓋もない言い方に対して、「女性を外見でしか見ていない」とか、「もっと内面を見るべき」とか、「注文が多すぎ」と言ったヒステリックな反応がみられる。しかし、本書を読めば、そんなことをほざいているから結婚できないことは明らかである。
何故本書を手に取っていながら、そんな的外れの批評が出てくるのか……。それも、コミュニケーション力の不足なのだろう。
批判の中でも、特に外見に対する本書の論調にヒステリックな意見は集中している。が、そうした人は現実を直視する能力に欠けている。
同じモテ無い人でも、「但しイケメンに限る」と自虐している人たちもいるというのに。
本書の表現を引用すると、
外見の管理とは自分の遺伝子を後世に残せるかどうかのかかったもっとも神聖な仕事なのだ。
本書から全体的にみると、結婚する意思がありながら30後半になっても結婚できない人には、社会的な常識の欠陥が見られることが多い。
そうした人は「少子社会日本―もうひとつの格差のゆくえ」のエントリでも触れられているように、まっとうな稼ぎを得るために働く方がいい。
社会で働いているうちに、マイナスにならない程度の常識は身につくはずだから――。
このように、きつい言い方ながらもまっとうな意見を述べている本書だが、一つだけ賛同しがたい箇所がある。
もしもこの先、奇跡が起きて、ものすごく偉くなったり金持ちになったとしても、結婚できなければ私への最終評価は「かわいそうな人」であろう。
とか
高齢独身者は陰で親戚・近所の子どものための生きた教材にされている可能性がある。「あんな歳まで結婚できない人になってはいけないよ」
と言った部分である。
これらは今の常識に基づいており、高齢独身者が増えることが確実な将来では当てはまらない可能性が高い。
「高齢者はマンションを借りられない」と言うのと同じくらい、心配するポイントがずれている。
善し悪しは置いておいて、今後の日本では高齢独身者が普通にあふれる世の中になることは統計上からも確実なので、筆者が言うように高齢独身者の生活が惨めになることはほとんど無いだろう。
それで本人が幸せかどうかは知らないが。
☆☆☆★（☆三つ半）
他のBlogの反応はこちら
（ポジティブな評価のエントリ）
http://dokusyo105.jugem.jp/?eid=99
http://blog.hoto-hoto.com/archives/65249544.html
http://roxytap.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-4d24.html
http://bestbook.livedoor.biz/archives/50586149.html
（微妙な評価のエントリ）
http://d.hatena.ne.jp/akehyon/20080720
http://d.hatena.ne.jp/kazunosuke/20080730/p2
書き方にとげがあるので、本書を手に取ったはいいが、断念する人も多そう。
最後まで読んでから評価してほしい。誤解されるほど悪い本じゃない。
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