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めんどくさいけど愛すべき人々:スロウハイツの神様 [小説]


スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)

スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/01/12
  • メディア: 新書



スロウハイツの神様(下) (講談社ノベルス)

スロウハイツの神様(下) (講談社ノベルス)

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/01/12
  • メディア: 新書



ぼくのメジャースプーン」が面白かったので、辻村深月の他の作品にチャレンジ。

本書はひたすら人間模様を描いた作品なのだが、キャラクター達が持つクリエイターの業と熱い思いが混ざっていて、非常に読み応えのある一冊であった。

【目次】
上巻
第一章 「赤羽環はキレてしまった」
第二章 「加納壮太は回想する」
第三章 「チヨダ・コーキの話をしよう」
第四章 「円屋伸一は出て行った」
第五章 「加々美莉々亜がやってくる」
第六章 「『コーキの天使』は捜索される」
下巻
第七章 「森永すみれは恋をする」
第八章 「長野正義は鋏を取り出す」
第九章 「拝島司はミスを犯す」
第十章 「赤羽桃花は姉を語る」
第十一章 「黒木智志は創作する」
第十二章 「環の家は解散する」
第十三章 「二十代の千代田公輝は死にたかった」


本書は7人のクリエイターが一つのアパート”スロウハイツ”に住み、お互いに影響を与え合い、干渉して、一人前のクリエイターとして成長していく物語である。その成長の中で、どこか欠けたところの多かった住人達が、一人前の人間としても成長していくのが本書のもう一つの神髄でもある。


私は30代前半だが、本書を読むと非常にむずがゆい感覚にとらわれる。
それは、本書に出てくる登場人物の多くが、夢に向かって必死に努力しながら、熱い思いを同居人にためらいなくぶつけているからである。
大人になれば、周りとの摩擦を考えて本音を出さない人は多くなる。そして、仕事に大して自分の思いを挟まずに仕事として割り切ってあきらめる人も多くなる。
そんな、周囲との妥協や夢との妥協が全く見られないところが、本書のキャラクター達の魅力であり、まぶしく映るところでもある。

本書のモデルになっていると思われるトキワ荘は男ばかりなので、もうちょっとばかばかしい雰囲気だったと思われるけど、本質的な熱さ・まっすぐさは意外と本書の様な感じだったのかもしれない。

いい年した大人にはちょっとまぶしい本書も、自分が若かったことを思い出させてくれる。
逆に、未来あふれる世代にはカッコイイ大人像として、本書のキャラクター達が光って見えるだろう。

筆者の作品は二作目だが、本書も十分にオススメできる水準にある。
他の作品もますます楽しみになってきた。

☆☆☆☆(☆四つ)

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トキワ荘青春日記―いつも隣に仲間がいた…

トキワ荘青春日記―いつも隣に仲間がいた…

  • 作者: 藤子不二雄A
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1996/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)







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