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日本のドラフト分析が始まった:ドラフト下位指名ならプロへ行くな!データで読むプロ野球で成功するための条件 [スポーツ]


ドラフト下位指名ならプロへ行くな!データで読むプロ野球で成功するための条件

ドラフト下位指名ならプロへ行くな!データで読むプロ野球で成功するための条件

  • 作者: 泉 直樹
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2008/01/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



今年のドラフトは菊池投手が大きな話題を集める一方で、ドラフト下位で指名された大学・社会人の選手が入団を渋る例が目についている。
本書は、独自の基準を元に選出した”成功選手”を分析することで、どのようなアマチュア選手がプロ入り後に成功するかについて分析した本である。

【目次】
第1章 プロ野球選手に求められる体格基準
  (プロ野球選手の平均身長 巨漢でなければスラッガーになれないか? ほか)
第2章 急激に変化する高校球界の勢力図
  (甲子園出場は0.8パーセントの狭き門 甲子園はプロ入り後の成功を保証するか? ほか)
第3章 売り手市場の大学生と買いたたかれる社会人野球
  (プロへの近道となる大学とは? 全日本チームが設けるノルマ ほか)
第4章 ドラフト会議の指名順位が成功の分岐点
  (ドラフト指名順位と活躍の相関関係 下位指名投手の成功者が消滅する ほか)
第5章 将来のスター候補生の通信簿
  (高校生最速投手・佐藤由規の評価 佐藤はスライダー投手 ほか)


本書はどのようなアマチュア選手がプロ入り後にせいこうするか?と言う一点について、データとインタビューから検証している。データは大体10年前後活躍することを目安に独自に設定した”成功選手”基準の分析から、インタビューはプロスカウト、アマチュア指導者の言葉から構成されている。
データだけではなく、プロの実態をよく知る人の語りが入っていることから、よく言えばバランス良く、悪く言えば中途半端な出来になっている。

ちなみに、プロには行って成功するための本書の結論は
・松坂、ダルビッシュ、田中将、と言ったドラフト一位候補ならそのままプロに入った方が良い。
・その他の選手はドラフト下位で入るよりも、大学を経由した方が良い。
となっている。

まず、データが上記結論を支持しているし、インタビューによる裏付けもされているのだ。
それによると、
・ドラフト上位の選手にはチャンスが多く与えられるので、その分成功する可能性が高い。逆に、ドラフト下位の選手にはチャンスらしいチャンスが回ってくる前に解雇されてしまう恐れがつきまとう。
・経済の落ち込みを繁栄して、社会人は選手が高齢化しており、若手にチャンスが巡ってこない。
・トレーニング施設も一般的には社会人よりも大学が恵まれているケースが増えてきている。
と言ったことが原因で、高校→大学と進む中で、ドラフト上位を待つのが最善の戦略になっているのだ。

このように、本書の分析は十分に納得できるレベルにまで仕上がっており、野球ファンなら十分に楽しむことが出来る。「マネー・ボール」の背後にある圧倒的な分析には及んでいないように感じられるが、日本でもデータによる野球の分析が始まったことを感じられる一冊である

☆☆☆(☆三つ)

他のBlogの反応はこちら
(ポジティブな評価のエントリ)
http://skymouse.seesaa.net/article/102916746.html
http://tbm.blog.so-net.ne.jp/2009-01-19


最後に、本書に改善してほしい点を2つ。
一つ目は、データ部分の数字が見難いこと。
縦書き漢数字のみで図表がほとんどないので、数字を把握するのに時間がかかる。近頃は役所の出す白書でももう少し見やすいのに……。
二つ目は”成功選手”の基準が高すぎること。
10年弱レギュラーを獲得する選手のみを対象にしているが、実際のチームでは外国人をのぞいて15名強のレギュラーの他に守備固め・中継ぎ(除くセットアップ、抑え)・代走等チームになくてはならない選手達がいる。
そのクラスの選手を含めるだけで、分析は大きく変わってくると思う。
考え方の違いだが、若干本書は大物狙いに偏っているようにも思われた。





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コメント 2

折野米 伏太

「ドラフト」「データ」などのキーワードで検索していたら辿りつきました。

私も数年前に、この本を読んだことがあります。

成功基準が高過ぎるという点は同感です。下積みの苦労をして中継ぎ投手、内野ならどこでも守れるユーティリティープレイヤーなどの地位を獲得した選手が、ごっそり抜け落ちてしまいます。
この、基準であるからこそ「トップクラスの高校生以外は大学へ・・・」という結論が導き出されると思っています。

また、取材先が各カテゴリーで1~2ヶ所であり、随分と偏った意見になっているかと思います。

なお、ネットでドラフトマニアが公開してるデータをそのまま抜粋したと思える(まぁネットの管理人はその点寛容でしょうが)点が数項目わたりあった点が残念でした。
by 折野米 伏太 (2010-11-18 01:44) 

book-sk

>折野米 伏太 さん
コメントありがとうございます。

新書なのでしょうがないですが、目の付け所の割には大雑把な部分が見られる本ですよね。
成功基準にしても、結論ありきで単純化したから妙に厳しい基準になってしまったのではと思えてきます。

最後に、ネットのデータを丸写しは本当だったらひどい話ですね。そういうことだけはして欲しくないと思っています。
by book-sk (2010-11-21 15:18) 

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