日本経済に張り巡らされたヤクザマネー:ブラックマネー―「20兆円闇経済」が日本を蝕む [経済]
不動産買収、IPO、架空書類による融資……。
様々な手段で表の金を収奪しようとするヤクザマネー。
アングラの金が日本の到る処を汚染していることがよくわかる一冊である。
【目次】
第1章 ヤクザマネーの奔流
裏カジノとトレーディングルーム
恐るべき「情報力」と「資金力」 ほか
第2章 不動産ミニバブルの影で跋扈した闇勢力
有名料亭の奇怪な土地売却話
五〇坪の土地をめぐる争奪戦 ほか
第3章 闇勢力に食い潰された新興市場
「最後の大物仕手筋」側近の怪死デジャ・ビュ
闇社会との接点となった「ブラックボックス」 ほか
第4章 巨大銀行を狙う闇勢力
魑魅魍魎の中心に記されたメガバンク
メーンバンクが買収資金を提供するという異常事態も ほか
第5章 「黒い目の外資」とヤクザの奇妙な共生関係
様々な金融ノウハウとテクニックを提供か
プライベートバンクという迷宮 ほか
本書で多く語られているのは、闇社会が不動産・新興市場・銀行を食い物にしている様である。
不動産の事例では、スルガコーポレーションが暴力団系の下請けを使って地上げを進めてきた例など、堅気の人間がヤクザを利用し、ヤクザがその中で莫大な利益を得ていることが生々しく描かれている。
新興市場の事例では、現代の仕手筋の事例や、株式交換とM&Aを利用した実態のない株価上昇を通じて、マネーロンダリングついでに暴利をむさぼるやり方が明らかになる。
そして、食い物にされる銀行の例では、新銀行東京のように、書類中心で融資をしたあげくその多くが焦げ付き、裏社会に流れている事例が危機感を持って描かれている。
本書を読むと、日本では到る処に裏社会の人間とその関係者が根を張り巡らせていることがわかる。
本書を読むと、私もそうだが、一般人なら株式取引や不動産売買に手を出すことが怖くなるだろう。
それほどまでに、裏社会は表の経済活動を浸食しているのだ。
日本の経済を上向かせるためには、金融政策をはじめとして、必要な政策は数多く存在する。
本書で触れられている、裏社会の取り締まり強化も、必要な政策の一つだろう。
株式市場を例に取ると、経済の見通しを誤ったり、運が悪くて損をするのは仕方ないが、いかさまの被害者が生まれるのは決して許されることではない。
日本経済の暗部がよくわかる一冊。
新興市場で取引をする人などは特に、読んでおくといいだろう。
☆☆☆★(☆三つ半)
他のBlogの反応はこちら
(ポジティブな評価のエントリ)
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http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/22529499.html
本書を読むといろいろな感想を持つことが出来る。私と考えの異なる意見もあったが、どんな人にとっても、本書の事実は重たいのだろう。
2009-12-19 22:22
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