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医療の楽園での青春:ひかりの剣 [小説]


ひかりの剣

ひかりの剣

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/08/07
  • メディア: 単行本



日本の医療が先行きの暗い中でも、まだまだいい状態を保っていた時代の物語。「ブラックペアン1988」が病院側から描いた時代を、学生側から描いたのが本書である。


本書のストーリー

医学部剣道部の最高峰を決める大会医鷲旗大会。
医鷲旗を目指す主人公の東城大剣道部主将:速水晃一と、最大のライバル帝華大剣道部主将:清川吾郎のライバルを軸に、剣道部顧問:高階や他大学のライバル極北大:水沢や崇徳大:天童などのキャラクターが入り乱れて、医学部学生の青春を描く。


本書は、「ジェネラル・ルージュの凱旋」に出てくる、ジェネラル・ルージュこと救急部長速水の学生時代を描いている。
ブラックペアン1988」が高階病院長の若かりし頃を描いていたのだが、それと全く同時期の東城大剣道部を舞台に物語が進む。

海堂尊の小説は現代医学の問題をテーマにしたものが多い。
それに対して、本書は「医療費亡国論」に端を発した医学部の定員削減について触れてはいるが、メインのテーマではない。メインテーマはバブル時代の医学部にもかかわらず、剣道という武道に打ち込む学生達の青春だ。

そういった意味では、キャラクター中心の小説であり、青春を部活に打ち込んだ人間の持つさわやかさと執念を味わうことが本書の楽しみ方なのだろう。
実力有る筆者であるため、十分に楽しむことの出来る水準に仕上がってはいるのだが、シリーズを読んだことが無い人には面白さが届かないかもしれない。
ブラックペアン1988」はシリーズを読んだことが無い人にもお勧めできるのだが、本書はシリーズファンのためのファンブックという位置づけだろう。

☆☆☆(☆三つ)

最後に苦言を一つ。
本書では、医学部の定員削減を、現場を知らない厚生官僚の絵空事から生じた悪手として書いているが、これは医者の奢りだろう。医学部の定員削減は人口減を睨んだ医師会の収入・既得権確保の政策という側面があるので、そこに全く触れないのはフェアではないと思う。


他のBlogの反応はこちら。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://luvbooks.blog103.fc2.com/blog-entry-479.html
http://plaza.rakuten.co.jp/tomoharn/diary/200912310000/
http://boti-boti.blog.so-net.ne.jp/2009-12-27-1
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http://blog.goo.ne.jp/itchy1976/e/6b74f8ee4062cb6660b755cf88975af6

皆さん評価は高い。
単独の評価ではなく、あくまでもシリーズとしての評価が多いけど。






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