歌舞伎が最新の娯楽であった頃:道絶えずば、また [小説]
「非道、行ずべからず」のシリーズ。
松井今朝子の時代小説ミステリ。大きな驚きはないけど、安定感があって楽しめる。
本書は、筆者の持ち味が十分に発揮された一冊。
江戸時代の歌舞伎役者の死から始まり、寺社で謎が解明するストーリーは、当時の風俗と生き生きした人間が十分に描かれており、時代小説として一級品の出来になっている。
ミステリとはいえ、謎を解く類の物語ではなく江戸時代の雰囲気を楽しみつつ、家族愛に感動する作品なので、ミステリファンよりも、時代小説ファン、感動の話が好きな人向け。
時代小説が好きな人なら外さないだろう。
☆☆☆★
それにしても、筆者の時代小説を見る度に、当時の歌舞伎と今の歌舞伎は全然違う雰囲気を持っていることが興味深くなる。
江戸時代の歌舞伎は、江戸三座がしのぎを削った競争原理の働くエンタテイメントであり、最先端のテクノロジーを使った仕掛けをふんだんに使った舞台でもあったのだ。
そういう意味で、現代の伝統を第一に重んじる歌舞伎とは全然違う雰囲気が漂っている。
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本書はどうも、三部作の三作目らしい。
是非真ん中の一冊も読んでみよう
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