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日本という国の寿命:若者殺しの時代 [社会]


若者殺しの時代 (講談社現代新書)

若者殺しの時代 (講談社現代新書)

  • 作者: 堀井 憲一郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/04/19
  • メディア: 新書



現代の若者が非常に恵まれていないことはよく言われている。
きちんとしたデータで、”どのぐらい”若者が搾取されているかを知りたければ、このエントリでも書いた「孫は祖父より1億円損をする 世代会計が示す格差・日本 」を読んでみるといいだろう。

では、どういった流れで若者は搾取されるようになったのか?そのことについて、感覚的ながらも本質を突いた視点からの論評が本書では読むことが出来る。

【目次】
第1章 1989年の一杯のかけそば
第2章 1983年のクリスマス
第3章 1987年のディズニーランド
第4章 1989年のサブカルチャー
第5章 1991年のラブストーリー
第6章 1999年のノストラダムス
終章 2010年の大いなる黄昏あるいは2015年の倭国の大乱


ここで質問。
若者はいつから搾取されるようになったのだろうか?
多くの人は失われた10年に代表される90年代半ばからだと思うだろう。
私も本書を読むまではそう思っていた。

ところが、若者の特権を奪い、年寄りがポストを明け渡さなくなり、いろいろな面で若者から収奪するようになるのはバブル絶頂にさしかかる80年代から始まっていたのだ。
筆者は日本の戦後国家体制が行き詰まりを見せたのが80年代で、その寿命は2015年~2030年で尽きると喝破する。今は、断末魔の苦しみの中で旧世代の最後を走る若者が虐げられているのだ。

と、こんな書き方をすると非常に堅苦しい本に思えるかもしれないが、中身は非常に軽く、読みやすい。
クリスマス、ディズニーランドが「子供only」から「若者向け」にも解放されるようになり、若者は収奪の対象として社会に組み入れられてしまった。
トレンディドラマに代表されるマスコミの発信を真に受けて、女性が恋愛のレートを上げるようになると、男性は恋愛に尻込みするようになり、晩婚・非婚化が進んだ。
といったように、目次からも分かるように、感性を活かした語り口で、非常に面白く読むことが出来る。

本質的には、バブルを経験した人の方が楽しめるとは思うが、若者世代でも昔の異世界を味わいつつ自分の身を悲しむことも可能。
気軽に読める割には、十分に楽しめる一冊である。

☆☆☆★(☆三つ半)

他のBlogの反応はこちら
(本書をポジティブに評価するエントリ)
http://d.hatena.ne.jp/hibigen/20100914/p1
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100820
http://d.hatena.ne.jp/huyukiitoichi/20100907/1283871495
http://mail2dais.jugem.jp/?eid=3027
http://d.hatena.ne.jp/sifue/20060522/1148309130
(本書に微妙な評価をしているエントリ)
http://blog.livedoor.jp/salmonidae/archives/1411817.html
http://blog.livedoor.jp/henry_mania/archives/673057.html

結構賛否両論割れてます。
私も、楽しくはあるけど釈然としないものを感じたので、元々そういう書き方なのかもしれません。

ちなみに、合わせて読みたい一冊はこれ。
明らかに若者を地獄に引き込んだ側の一冊なのですが、同じアホなら踊らにゃ損を地でいっており、なかなか楽しめます。

気まぐれコンセプト クロニクル

気まぐれコンセプト クロニクル

  • 作者: ホイチョイ・プロダクションズ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/01/20
  • メディア: コミック







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