音楽を通じた青春の思い出:ブラバン [小説]
高校時代にブラスバンド部に所属していた主人公が、中年になってブラスバンドを再結成するための活動を通じて、当時を思い出す。
このような典型的な青春小説。本書のキーワードはもちろん音楽。
青春小説は数多くあれど、本書はブラスバンド部という設定から、音楽を通じた青春の回想が中心となる。
なので、音楽自体の持つイメージ・パワーを通じて、読者は主人公の世界に入っていくことになる。小説の書き方に関するピュアな技術論からすると、邪道なのかもしれないが、それだからこそ小説の世界に引き込まれる。
音楽のパワーを借りた小説としては、十分に楽しめる。
そして、本書を通じて思うのは、音楽は一生ものだと言うこと。
私は中学時代バスケットボールをやっていたのだが、バスケットボールだと、中年になって往年のチームが再結成されるという筋書きには無理がある。世代を超えたブラスバンド部OBが再集結することが本書のクライマックスであり、そのシーンでは、音楽という一生もののスキルにうらやましさを感じてしまう。
そして、そうした一生もののスキルである音楽だからこそ、再結成の場に参加できなかった3名に対する心の中での呼びかけが感動を生むのだ。
上記のような思いを胸に読んだからこそ、本書の中でも、ラストシーンは特に印象に残っている。
ストーリーを全体としてみると、粗っぽかったり、不自然だったりする点は多々ある。
でも、音楽の持つパワーがそれを帳消しにしてくれている、とても楽しい小説である。
☆☆☆★(☆三つ半)
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いろいろな感想があります。
こんな小説もたまには面白いよね。
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