中国人の扱いに見る時代の流れ?:ドラゴン・ティアーズ──龍涙 [小説]
相変わらずの池袋ウエストゲートパークシリーズ。
シリーズもののファンなら間違いなく楽しめるクオリティになっている。
テーマはその時々で話題になっていそうなことを筆者が選んでくる本書の中で、一番印象に残ったのは、表題作「ドラゴン・ティアーズ──龍涙」。
中国人研修生(と言う名目の低賃金労働)と池袋の中国人街がテーマ。
日本に中国人労働者とそれに付随するアウトローが増えてきた頃は、「不夜城」のように、異質で理解し得ない招かれざる客というのがメインの見方だったように思う。
ところが、中国が発展し、日本経済の斜陽が決定的になると、異質で理解し得ないのは相変わらずでも、交流を拒むことが難しくなってくる様子が小説の中にも現れている。
これはリベラルな筆者の特殊性ではなく、全体的な傾向だと思う。
そう考えると、小説とはいえ興味深いものがある。
と、堅苦しい感想を書いてきたが、作品自体は他のシリーズと同じく、非現実的で、エンタテイメント色満載の作品なのであっさり読める。剣豪ものの時代小説などと同じく、単純に楽しみたい人が手に取るのが向いている。
☆☆☆(☆三つ)
他のBlogの反応はこちら
http://tukinonezumi.seesaa.net/article/168307728.html
http://assuhy.seesaa.net/article/166887618.html
http://idonohata.txt-nifty.com/hondana/2010/11/post-687a.html
http://peacemaker9.blog113.fc2.com/blog-entry-1002.html
http://blog.livedoor.jp/taisuke777777/archives/1299345.html
http://blog.livedoor.jp/soleil1/archives/52130525.html
惰性という意見はあるけど、その割には平均的に高評価。
これだけ続いて、それなりに読めるというのはすごい作品だと思います。
トラックバックありがとうございました。
新作も出ましたね。
by たい (2010-12-14 14:07)