アフリカ支援の違和感の正体:援助じゃアフリカは発展しない [社会]
アフリカが貧困にあえいでいるのは植民地政策によって、教育・産業が立ち後れているからであり、その責任を持って先進国はアフリカを援助しなくてはならない――。
こんなきれい事を言う人は多い。
しかし、アフリカにはいくら援助しても無駄なのだ。
アフリカに対する援助は国家レベルでも、有名人を含めた個人レベルでも色々行われている。
しかも、今に始まったことではなく、数十年間継続されている。
それなのに、アフリカは貧しいまま。
何でこんなことが起こるのか腑に落ちないものはあったのだが、本書を読んでハッキリした。
援助は助けになるどころか、足を引っ張るだけの存在でしかないのだ。
【目次】
第1部 援助が主役の世界
第1章 援助の神話
第2章 援助の略史
第3章 援助は役立っていない
第4章 経済成長の無言の殺し屋
第2部 援助がない世界
第5章 援助依存モデルについてのラディカルな再考
第6章 債券発行
第7章 中国人は朋友なり
第8章 貿易で経済発展
第9章 貧者の銀行
第10章 アフリカに真の開発を
援助がアフリカの足を引っ張るメカニズムは単純だ。
アフリカの大半の国では、政府首脳は無能で汚職にまみれていて、国民を富ませるまともな政策は実施されない。日本をひたすら貧しくしている民主党のレベルではなく、北朝鮮とかと同じレベル。それがアフリカの”普通”。まずこの悲しい事実が前提となる。
そうした国々に多額の援助を送るとどうなるか?
政治家・官僚は援助は私腹を肥やし、国民のためには一銭も使われることはない。
だけだとまだ良いのだが、援助によって甘い汁を吸えなかった部族は、援助で私腹を肥やすことが出来るように現政権を武力で妥当しようとするので、内戦を誘発する要因にもなってしまう。
以前のエントリで触れた「最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?」では、天然資源の存在は、国を貧しくするファクターだという話があった。
天然資源があると、働かなくてもお金が入ってくるため産業の発展を阻害する上に、天然資源の利権を巡って内戦が誘発されるため、天然資源の存在はアフリカにとってマイナスになってしまうからだ。
実は、援助も天然資源とほぼ同じ働きをしてしまう。
日本の微々たる生活保護でも、労働意欲を削いでいることからも分かるように、GDP比何十パーセントもの援助は確実に労働意欲を削いで産業の発展を遅らせる。
さらに、援助利権を巡っての政争・内戦まで行われるとなれば、援助で国が豊かになる道理が存在しない。
そう、アフリカに援助するのは無駄なのだ。
それよりも、貿易によってアフリカ国内の産業が成り立つようにしたり、軍事力によって内戦の発生を押さえ込む方が何倍も有益だ。
かつての日本では、施しによって目先の楽をさせるよりも、多少厳しくても自分で自立できるように手助けをする方が良いとする考え方が存在していた。
現在は欧米の考え方に基づいて、アフリカには借金の棒引きや、単純な援助をする方が主流のようだが、今こそ考え方を改め、アフリカ人が援助に頼らなくても自立するように導いていく必要がある。
アフリカに生まれた筆者が書いたこの一冊。
アフリカの求めているものが、世界から与えられているものとずれていることがよくわかる中身になっている。
☆☆☆☆★(☆四つ半)
他のBlogの反応はこちら
(本書をポジティブに評価するエントリ)
http://benly.blog.ocn.ne.jp/benlyblog/2010/11/post_05ed.html
http://donzoko-kai.seesaa.net/article/167851343.html
http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2010-10-24
http://blog.goo.ne.jp/onscreen/e/5462785d1eb4c04d8fcf1901bcaacae1
(本書をネガティブに評価するエントリ)
http://ameblo.jp/45998877/entry-10688383054.html
http://d.hatena.ne.jp/cool-hira/20101101/1288559602
賛否両論あります。
内容が過激で、かつ、緻密さよりも言いたいことを優先しているのでそうなるのはある種当然なのですが……。
個人的には、今のままアフリカに大量の援助を送り続けてもアフリカが改善するとは思えないので、その一点で筆者の意見に賛成するのですが。
素晴らしい!!
表面的なことしか見ない者共にはわかるまい!
だいたい震災の被害者のことを言わないでアフリカの人たちは~とか言う人が理解できん
by NO NAME (2012-07-06 21:51)