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日本は既に詰んでいるかも:人口負荷社会 [社会]


人口負荷社会(日経プレミアシリーズ)

人口負荷社会(日経プレミアシリーズ)

  • 作者: 小峰 隆夫
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2010/06/09
  • メディア: 新書



日本は人口が多すぎるから少子化が進むぐらいでちょうど良い――
こんな寝ぼけた意見を言う人は死んだ方が良い、と言うことがよくわかる一冊。

日本が抱える問題の多くは、少子化から引き起こされている。
【目次】
人口減少を考える7つの視点
日本の人口構造はどう変化していくのか
日本の出生率の真実
日本の少子化の原因を考える
人口オーナスとは何か
少子化、人口減少はなぜ問題なのか
人口オーナス下の経済成長
大労働力不足時代へ
高齢者と女性の就業率を高めるには
人口オーナス下の産業・企業
人口オーナスしたの社会保障―年金問題を中心に
人口オーナスと民主主義の失敗
人口オーナス下の地域
アジアの人口ボーナスが剥落する日
未来のためのコストを担う


発展途上国から先進国へと進んでいく過程で、医療水準の向上等によって乳幼児の死亡率が下がり、労働者人口が総人口に占める割合が高くなる時期がある。
この時期が、「人口ボーナス」の時期で、国家における社会保障費が少ない上に生産人口が多くなるので、経済成長の面で非常に有利な時期となる。

ところが、「人口ボーナス」の時期が過ぎ、少子化が進んでくると、総人口における生産年齢人口の割合が少なくなってくる。この状態が「人口オーナス」の状態で、経済の面からは非常に大きなハンデを抱えることになる。
そして、今の日本はまさしく「人口オーナス」状態のまっただ中にいるのである。

人口オーナスの状態においては、経済成長に欠かせない労働力が不足し、社会保障が大きな負担となり、しかも、数の多くなった高齢者が強い政治力を持つので、社会制度の改革が難しくなる。
日本では短期的な需要不足などの原因により労働力不足こそ明らかになっていないが、他の2つの弊害は既にハッキリと現れている。

この問題を解決するには、人口ボーナス時期に作られた従来型の社会から、人口オーナス型の社会に変革していくしかないのだが、高齢者が票の力を持ち続けることを考えると、それも非常に難しい。
本書を読めば読むほど、既にゲームオーバーであるかに思えてくる。

若い人には絶望以外の何者でもないだろうが、現在の日本、そして近い将来のアジアの問題を明らかにしている本書。老い先短い老人以外の人は、是非読んでみて欲しい。

なお余談にはなるが、「若くて活力ある人口ボーナスの社会」は「不安定な社会」でもある。
このエントリで触れた「自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来」も併せて読んでみると面白い。

☆☆☆☆(☆四つ)

ちなみに、筆者は日本は豊かになってから高齢化したので、豊かになる前に高齢化することが確実な中国よりは恵まれていると主張する。
でも、中国は民主主義の国ではないので、高齢化に対応した社会を築き上げることは日本より容易だ。その点は中国にアドバンテージがあると思う。


他のBlogの反応はこちら
(本書をポジティブに評価するエントリ)
http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/8556d5711a7657e416dd33594565ccf8
http://blogs.yahoo.co.jp/onebridge4/61686415.html
http://blog.livedoor.jp/akipop/archives/51850578.html
http://d.hatena.ne.jp/JD-1976/20100901/p1
(本書に微妙な評価をするエントリ)
http://izachiruda.blog133.fc2.com/blog-entry-109.html
http://ameblo.jp/45998877/entry-10648741466.html

特に少子化・人口オーナスへの対処方法については色々な意見がありますが、本書の問題提起については、多くのエントリで有用だと評価されている模様。
1度手に取ってみるだけの価値は十分にある。





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