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いい主張なんだけど……:日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える [社会]


日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える (光文社新書)

日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える (光文社新書)

  • 作者: 高橋 洋一
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/05/18
  • メディア: 新書



書かれている内容は正しいんだろうし、タイトルにも偽りないんだけど、書き方のせいで若干説得力を落としている残念な本。
新書という形式上、仕方なかったのかもしれないが……。

【目次】
まえがき 公共事業、やめるべきか続けるべきか、それが問題だ―「八ッ場ダム」を例に
第1章 民主党の政策の大問題
 高速道路無料化が天下の愚策のわけ
 民主党の政策、「財源不足」じゃないの? ほか
第2章 社会保障制度の大問題
 年金は積立方式にすればいいんじゃないの?
 話題の「負の所得税」とは何ですか? ほか
第3章 税の大問題
 法人税ゼロは大企業優遇じゃないの?
 話題の「寄付控除」って何? ほか
第4章 地方分権の大問題
 地方分権って、一体どういう意味があるの?
 地方分権はいいけど、財源はどうするの?


本書は、日本の政治問題に対して経済学的な視点から回答を与える形式で記述されている。
その内容は、概ね正しいと思われるし、それなりに筋も通っている。

ただ、残念なのは”グローバル・スタンダードではこうなっています”とか、”世界標準です”と言った形での説得が多く、本書を読んだだけでは、イマイチ納得感が得られない。
筆者の主張は他の著作からぶれていないので、他の作品を読んだ人なら本書を十分に楽しめると思うのだが、本書で初めて筆者の主張に触れる人には、若干消化不良を起こすかもしれない。

それでも、経済学的に数字を交えて考える姿勢は新聞をはじめとしたマスコミでは得られないものであり、そうした考えに抵抗がある人こそ読んで欲しい本ではある。

☆☆☆★(☆三つ半)

最後に、私が本書で一番消化不良を起こしている箇所は以下。
・八ッ場ダムのような公共事業は、地方が主体となって起債して事業を行い、その収益で債務を償還するのがグローバルスタンダードである。
・この手法だと、投資家がチェックを行うので、費用対効果の低い公共事業は債券が売れず、実施することが出来なくなる。
確かに無駄な公共事業を抑制できるスキームなんだけど、ダムのような直接金を生まない公共事業にもこの手法は使えるのだろうか?外国で実例はあるのだろうか?
高速道路、空港、大学と言った金銭収入を産む公共事業だと、起債で公共事業をして収益から返済するモデルも有りなんだろう。でも、ダムや自衛隊基地のような金銭収入を生まない公共事業では起債して事業をしても、償還できないような気がするのだが……。


他のBlogの反応はこちら
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http://kaysaka.blog.so-net.ne.jp/2010-11-04
http://kudotsutomu.jugem.jp/?eid=16
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概ね高評価のよう。「ロジカル」とタイトルは私もどうかと思いましたが。





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