家族小説であり剣豪小説:隠し剣孤影抄 [小説]
映画化された「隠し剣 鬼の爪」が収録されている短編集。
タイトルからは剣豪小説のように見えるかもしれないが、それよりは夫婦・親子など家族の関係を描いた部分が印象深い。
【目次】
邪剣竜尾返し
臆病剣松風
暗殺剣虎ノ眼
必死剣鳥刺し
隠し剣鬼ノ爪
女人剣さざ波
悲運剣芦刈り
宿命剣鬼走り
基本的には江戸時代を舞台にした時代小説で、お家の事情や個人的事情を背負ったもの立ちが織り成す人間ドラマ。戦い中心の剣豪小説にはない、どこかもの悲しくなる読後感が特徴的だ。
どの小説も高いレベルでまとまっていて、安心して楽しむことの出来る一冊。
やや悲しくなることが多いので、長編ではなく短編で正解なのだろう。
☆☆☆★(☆三つ半)
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