IFを思うのが最も楽しい:ローマ人の物語 キリスト教の勝利 [小説]
末期が近づいてきたローマ帝国。
無敵のローマもついにキリスト教に屈するときがやってくる。
本書の見所は、コンスタンティヌス・コンスタンティウスというキリスト教を庇護した皇帝が続いた後に登場した、”背教者”ユリアヌス。
ローマがキリスト教の軍門に下る前の最後の抵抗だ。
運命か、歴史の必然かユリアヌスの治世は戦死という形で短期間に終わってしまう。
それでも、本書を読んだ後思わずにはいられない。
ローマ帝国が一神教のキリスト教を国教とせずに、全ての宗教を等しく扱う多神教国家のままであったなら……。
このエントリでも触れた「人類は「宗教」に勝てるか―一神教文明の終焉」などでは、一神教は人類最悪の発明であるかのように言われている。
ローマ帝国が負けたのはハンニバルでもなく、キリスト教にだったのは、必然であったにせよ、せめて運命の歯車が狂っていればと思わずにはいられない。
宗教を原因とする対立が先鋭化している現代に生きるわれわれからすると、その思いはいっそう切実に感じられる。
最後に向かって良い調子の本シリーズ。
ほどほどに荒れていて、そこそこのキャラクターを持った人物が出てくる。
こういう時のこのシリーズは面白い。
☆☆☆★(☆三つ半)
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残すところあと一つ。
最後まで読み通しますよ。
紹介して頂いてありがとうございます
個人的には、キリスト教が広まったからローマが衰退したというより、ローマが衰退したからキリスト教が広まったという印象を持ちましたね
by クロノクル (2011-01-21 19:15)
>クロノクルさん
コメントありがとうございます。
おそらくそうなんでしょうね?
逆説的ですが、この時期にハンニバルクラスの敵が現れていたなら、その敵に負けていたのでしょう。
ただ、負けた相手が違ったらと思わずにはいられないですね……。
by book-sk (2011-01-21 20:17)