幸福の経済学:日本の幸福度 格差・労働・家族 [社会]
幸福になるにはどうすればいいのだろうか?
という問題に、経済学の観点から取り組んだ一冊。やや論文調ではあるものの、非情に興味深い一冊。
経済学の観点から、幸福になるには収入を増やせばいいと思うでしょ。 ところが、それは短絡的な発想で、間違いなんですよ……。
【目次】 序 章 本書の目的と構成
第1部 幸福度研究の概観と日本人の幸福感
第1章 幸福の経済学の現状と課題
第2章 なぜあなたは不幸なのか
第3章 経済学における主観的データの意義と問題点
第2部 労働・失業と幸福
第4章 労働は人々を幸せにするか?
第5章 失業と幸福度
第3部 格差と幸福
第6章 不平等と幸福度
第7章 地域格差は本当に存在するか
第4部 結婚・子育てと幸福
第8章 家庭内分業と結婚の幸福度:日米比較
第9章 ワーク・ライフ・バランスと女性の幸福度
終 章 幸福度研究の課題
男性と女性はどっちが幸福なのか?
働いている人と働いていない人はどっちが幸福なのか?
既婚者と未婚者はどっちが幸福なのか?
子どもの有無は幸福度に影響をあたえるのか?
といった質問に対して、大規模のアンケートを実施し、その結果を統計的に処理したのが本書。
日本において、幸福な人というのがどのような人かがよくわかる一冊。
端的に言うと、高収入の旦那をもち、健康で、子どものいる高学歴の専業主婦。
これが一番幸福度が高くなる類型的な姿であるらしい。
そう考えると、婚活で非常識なまでに条件のよいな結婚にこだわるアラサー女性の気持ちもわかるような気がしないでもない。
(ただし、未婚者は既婚者よりも幸福度が低いので、良い条件にこだわりすぎて婚期を逃すのはさらなる不幸への道だ)
その他にも、タバコを吸う人の幸福度が低い。とか、お金があるとしても、働いていない人の幸福度が低い。とか、地方に住む人の幸福度が低い。といった、興味深いデータが満載。
学者が共著の形で書いているので、論文調の上ブツ切り感が出ていて、やや読みにくいのだが、それを補って余りある興味深いデータに満ちている。
雑学の種として、行動の指針として、社会学の裏付けのない論文に対する裏取りとして、非情に役立つ一冊である。
☆☆☆☆(☆四つ)
他のBlogの反応はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20110115/1295100603
http://d.hatena.ne.jp/yositeru/comment?date=20101027#c
http://d.hatena.ne.jp/mxnishi/20100807/1281162495
http://agora-web.jp/archives/1071134.html
学者さんなど、ややアカデミックよりの人のエントリが多い気がする。
内容がデータ・論証中心で、気軽に読めるようなものではないからかもしれません。
読んでみると、アカデミック以外の人でも十分に楽しめるのですが……。
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