いかにもデビュー作:冷たい校舎の時は止まる [小説]
辻村深月のデビュー作
比較的好きな作家さんの作品なので手にとったのだが、現在の持ち味がこのころから現れていて興味深い。
本書を読むと、「スロウハイツの神様」のような後味のよい青春モノも、「太陽の坐る場所」や「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 」のような人間の心の機微・闇を描いたような作品も、本書に源流があることがわかる。
デビューから自分の持ち味、書きたいことを磨いてきて今があるというイメージだ。
辻村深月のデビュー作で、ルーツとも言える作品なので、ファンの人になら間違いなくお薦めできる。
ただ、本書はデビュー作なので、色々と特色がある。
例えば、上記で上げたように、いまだと2冊で別のテーマとして描かれるようなこともひとつの本に詰め込まれているし、キャラクタも多くてやや冗長だ。また、メフィスト賞というミステリの賞に応募した作品なのでミステリとしての作法・雰囲気をだそうとしすぎているきらいがある。
(筆者と同名のキャラクタが出てきたり、最終章を前に犯人当てのページが挟まっていたりするのがそれだ)
本格ミステリは筆者の持ち味からは若干外れると思っているので、余分なものも詰まっている作品とも言える。
そんなこんなをひっくるめて楽しむことのできる筆者のファンにならオススメ。
初めて筆者の本を手に取る人は、他の高評価の本から入ったほうがいいかもしれない。
☆☆☆★(☆三つ半)
他のBlogの反応はこちら。
http://verde1.blog16.fc2.com/blog-entry-132.html
http://bookworker.seesaa.net/article/196894754.html
http://blog.goo.ne.jp/nirvana0083/e/6bfac892a4df62fa5bcdd7493c2e57b0
http://nanamemo.jugem.jp/?eid=2333
http://ameblo.jp/junn-411334/entry-10706925848.html
http://d.hatena.ne.jp/Erlkonig/20091207/1260182487
http://d.hatena.ne.jp/sumau/20100501/p2
結構高評価。
私は、辻村深月作品の中では高い評価ではないと思いますが、読む価値はありと思っています。
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