勧善懲悪風味のストーリーも計算の上:黒革の手帖 [小説]
言わずと知れた松本清張の有名作品
あえていまさら内容や感想を書くまでもない。
ただ、本書を読み返して思ったのは、松本清張には時代を超えて愛読される理由が詰まっている。
松本清張が読み続けられる理由をいくつか考えてみた。
一つは、作品の質。これは売れ続けるための最低条件なのであえて言及するまでもないのだが……。
2つ目は、作品の数。どんなに作品が素晴らしくても、作品の数が片手で数えられるだけだとあっさりと読み終わってしまい、それっきりになってしまう。
人を引きつけるのは質。つなぎとめるのは量が重要なのだ。
3つ目はテーマ。これが松本清張が読み続けられている大きな理由だ。
巨悪・権力の裏側を描くだけでなく、庶民が共感できる視点を持っているのが大きい。城山三郎等と比べたら身近に感じるというポイントでおおきく上を言っているのがわかる。
そして最後はマスコミ受け。松本清張の描くテーマはいかにもマスコミの中の人に受けそうなテーマが多い。それが故に映像化→新規顧客の獲得のループがうまく回っているのだろう。
有名作品だけに感想をあえて書かなかったが、清張の息の長い人気の理由はもう少し考えると面白そうだ。
例えば、当代の人気作家宮部みゆきや東野圭吾は松本清張並みに読み続けられるのだろうか?私はマスコミ受けという面でそこまで行かないのではないかと思っているのだが……。
☆☆☆☆☆(☆5つ。満点。もちろん小説の評価です)
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