バブルなのはわかっているのですが……:【中国版】サブプライム・ローンの恐怖 [経済]
中国の不動産バブルについてのレポートと考察がある一冊。
日本人から見れば、今の中国経済がバブルであることは一目瞭然だ。
【目次】
中国のヤバすぎる実態!
■2011年6月時点、北京だけで売れ残り不動産の時価はなんと約12兆円!
■2010年末の地方政府の債務総額は10兆7000億元(約128兆円)であり、中国GDPの3割に相当
■2011年7月の食品は前年同月に比べ14.8%の上昇、豚肉はなんと同56.7%も値上がりした
■嫌気がさし、続々と海外に逃亡するエリートと富裕層。 年平均45万人!
■中国のネット掲示板に温家宝批判が後を絶たない
■着々と敵対国との「戦争」準備を進める中国政府
本書は現在の中国が不動産バブル状態になっていることを様々なエピソードを交えつつ述べている。
中国経済については色々な意見があるが、成長率や先行きの明るさだけを持って指標に見合わない数値を正当化している状態であり、日本人が過去の経験に照らしてみればバブル状態であることは明白だ。
現地にいる人は表面上の勢いもあり、現在の高値も納得しているのだろうが、外から見て異常に見える場合はだいたい外から見た判断が正しいものだ。
本書で書かれていることはここまでであり、その内容にほぼ間違いはない。ただ、重要なのはバブルであるかどうかではなく、いつバブルが弾けるかだ。そして、その時期は誰にもわからない。
橘玲の著書の中に「ハワイでタクシードライバーが不動産投資の話をしていて米国の不動産はバブルだと思った。だが、実際にサブプライム問題でバブルがはじけたのは3年も後だった」という趣旨の記述をしていたが、今の中国不動産もまさにそうした状態なのだ。
中国経済を総楽観している人は本書の内容は受け入れられないだろうが、違った意見なので本書から得るものもあるだろう。だが、多くの人はそう思っていないはずで、中国経済、特に不動産についてはバブルの懸念を持っているだろう。そうした人にとっては新たな情報がなく、若干物足りない思いがするだろう。
中国から日本に帰化して、両国をわかっている筆者なのだから中国不動産バブルと日本国債バブルどっちが先に弾けるかを考えてくれると面白かったのだが……。
☆☆☆(☆3つ)
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新書のタイトルに突っ込むのは野暮だけど、「【中国版】サブプライム・ローン」というのは不適切。
本書は中国の不動産バブルについて述べているが、本家サブプライム・ローンのように証券化によって回収が怪しい債券がばらまかれている状態ではないので、正しくは「中国不動産バブルの恐怖」というべきだ。
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