SSブログ

正論が痛い時ってあるよね。:ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 [自己啓発]


ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

  • 作者: リンダ・グラットン
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2012/07/28
  • メディア: ハードカバー



2025年の働き方について予測した一冊。
技術の進歩やグローバル化の進展により、労働者は高い専門性を武器に豊かな生活を送る人と、誰でもできるような仕事をして日々の糊口をしのぐので精一杯の人におおきく分かれていく。
そうした状況で実りある働き方が出来るようにするためには、何をしなければならないかについて論じた興味深い内容である。


【目次】
働き方の未来は今日始まる
働き方の未来を予測する
第1部 なにが働き方の未来を変えるのか?
第2部 「漫然と迎える未来」の暗い現実
第3部 「主題的に築く未来」の明るい日々
第4部 働き方を“シフト”する
未来のために知っておくべきこと


本書の未来予測は極めてオーソドックス。高いレベルでまとまっているが、奇抜な視点はあまりない。
ただ、総合力の高い未来予測から導かれる働き方の未来は非常に詳しく・多くの人が考えもつかないような内容で衝撃的だ。
例えば、一握りの専門性の高い人材と汎用的な働き方しか出来ない人材に二分され、貧富の差が広がる。と言った予測はどちらかと言うとありがちなものだ。ところが、本書がすごいのは、前者の高い専門性を武器に世界を股にかけて高い給与を得る人材も必ずしも幸せではない。という結論を論理的に書いているところ。

つまるところ、本書は「働く」ということについて、非常によく考えている人が書いているので得られる気づきが多いのだ。前述のように単に高い報酬を得られる仕事につくことが幸せなのではない。また、好きな事をやっていれば報酬なんかどうでもいいといった負け犬の理論ともひと味ちがう(そもそも、2025年の世界では能力のない人は好きな事を仕事にできない)。
働くことによって、何を得て何を諦めるのか。そして、得たいものを得るために必要なことは何なのか。こうした働くことに対する根源について示唆を与えてくれ、考える切っ掛けになる非常にお薦めできる内容だ。


ここからは本書を読んだ個人的な雑感になるのだが……。

本書が描く未来では、技術の進歩・グローバル化・長寿化・家族のあり方の変化などにより、アフリカの奥地に生まれても能力とやる気があれば世界で活躍する幸せな働き方を出来る一方で、ニューヨークや東京に生まれてもまともな仕事につけず、貧困のうちに一生を終えることもありうる。
これは、人間のあり方としては非常に正しく・まともだ。どこで生まれたかによってその後の人生が左右される度合いが減り、個人の能力・資質によって人生は左右される。非常に理想的で素晴らしいといえる社会がやってくるのだろう。

でも、そうした社会は非常にしんどい
現在50代後半以降の人が男性というだけで大きなアドバンテージを得て、楽な会社生活を歩んできたことを考えればこの複雑な環状を理解していただけるかもしれない。
男性というだけで恵まれているのは社会としては間違っている。でも、中にいた男性は非情に楽だったろうし、今から見れば戻れないとはわかっていつつも羨ましくもある。そんな感情を「日本人」全員が抱く日が確実にやってくるのだ。

社会の進歩を見届けることが出来るという意味では非情に素晴らしい経験だろうが、その中で働かなくてはいけない私達のような人にはある意味辛い環境がやってくる。

☆☆☆☆☆(☆5つ。満点)

他のBlogの反応はこちら。
http://mybookshell.seesaa.net/article/314415300.html
http://manekineko2.seesaa.net/article/295316773.html
http://blog.goo.ne.jp/mailtotaro/e/4dbc29e433b9b6b7343aa2eb104f8f9c
http://girgis.blog93.fc2.com/blog-entry-144.html
http://kosstyle.blog16.fc2.com/blog-entry-2071.html
http://inoueroumu.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-e411.html

エントリは多いけど、考えることは人それぞれ。
そういう『きっかけ』を得るにはいい本なのだろう。






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。